2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of calcinosis in systemic sclerosis
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19K08921
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
白井 悠一郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (70528801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 強皮症 / 石灰沈着症 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、強皮症(SSc)における異所性の石灰沈着症の機序解明を目的としている。前年度、4例の石灰沈着症を有するSSc患者から石灰沈着が付着している組織の検体を採取した。うち1例では膝関節の皮膚、皮下脂肪、滑膜、腱、靭帯、半月板、骨、骨髄を膝関節の手術時に採取し、初代培養した。①石灰沈着のある半月板由来からの培養では、経時的に石灰沈着が蓄積され、顕微鏡で拡大すると個々の細胞表面に沿って石灰のvesicleが沈着していることが見られた。一方、沈着のない部分からの培養では石灰沈着は認められなかった。従って、局所的にハドロキシアパタイトを産生する能力のある細胞集団が存在することがわかった。②さらに、腱、滑膜など各組織の一部を培養・固定し、間葉系マーカーのCD90、血球マーカーのCD34、CD45、骨芽細胞マーカーのオステオカルシンで染色したところ、いずれもCD90が染色され、一部でオステオカルシンも染色された。すわなち、間葉系由来でかつ骨芽細胞の形質を有する細胞が培養されたことが明らかになった。③別の患者の石灰沈着が含まれる摘出組織のパラフィン標本を染色したところ、Alizarin Red Sが染色されたためハイドロキシアパタイトであることが明らかになり、ALP染色で陽性になる小型の単核球細胞が、ハイドロキシアパタイトの近傍で染色され、やはりSSc患者では異所性に骨芽細胞が出現し、ハイドロキアパタイトを産生する可能性が示された。次年度はこの骨芽細胞を標的とするような治療薬候補の化合物を添加して有効性を調べる培養系を確立し、併せて治療前後の遺伝子解析によりどの機序に有効であったかを追究する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で一時期研究棟での活動が自粛になったこと、-80℃のフリーザーが突然故障し、新規のを購入するまで活動困難な状況になったことの2点により予想外の状況があった。なお、これらはいずれも改善された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に使用する患者石灰沈着組織検体は集められた。この組織を培養し、治療標的と考えている化合物を添加し、石灰沈着抑制を示すとともに、治療前後でRNA-seqによる遺伝子解析を行い、どの分子に作用したかを追究する。
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Causes of Carryover |
2020年には研究室の冷凍庫が急な故障のため一時使用不能になり、研究活動が一時中断を余儀なくされた。新規に冷凍庫を購入し直し状況は回復している。2021年度は冷凍庫に保存していた検体の培養系を確立し、治療薬候補の化合物を添加し、その機序を検討する研究を計画している。
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Research Products
(1 results)