2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of mycobacterial non-coding RNA promotes the fundamental understanding for newly developing antimycobacterial therapies and strategies.
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19K08938
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
吉田 敦 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40364541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 賢 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60214748)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 迅速発育抗酸菌 / 同定 / 薬剤感受性 / 誘導耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまずMycobacteroides abscessusを含む迅速発育抗酸菌の臨床分離株を全国から収集し、その薬剤感受性と耐性機序を決定した。同定にはhsp65、rpoB、sodAのシークエンスを用い、薬剤感受性の測定は24薬剤で行った。マクロライド耐性に関わるerm遺伝子については欠失のみならずシークエンス型sequevarも決定した。耐性機序に関してはrrl、rrs、gyrA、gyrBのシークエンスの決定によった。結果として、これまで509菌株を解析できたが、これには15菌種が含まれた。同じ薬剤のクラスの中では、アルベカシン、シタフロキサシンのMICは低く、またM. abscessus subsp. abscessus (MAB)においてはリファブチンのMICが2以下である割合が、M. abscessus subsp. massiliense (MMA)よりも有意に低かった:50/178 (28.1%)と23/130(17.7%);p=0.041。アミカシン非感性の70株についてrrs変異を調べたところ、変異は認められなかった。 続いて各菌種・亜種ごとの分離の地理的差異を、下気道由来検体(LRS)、非下気道由来検体(NLRS)に分けて調べた。NLRSではM. abscessus complex(MAG)の比率は低い一方、MMAの比率は高かった。北海道・東北地域は他地域に比べてMAGの割合が高い一方、沖縄地域は他地域に比べてMABのシークエンスタイプC28の割合は高かった。したがって北日本では迅速発育菌に占めるMABの割合は高く、沖縄地域ではマクロライド感性が他地域と異なる可能性が示された。 これらの結果について学会発表、論文投稿を行った。さらに全ゲノム解析およびRNAシークエンスを行う対象株について選定し、条件を変えて各菌株のシークエンスを実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究計画の概要」に示した通り、多数の臨床分離株の収集と薬剤感受性の測定および耐性機構に関する機序の詳しい解析には成功している。既述のように重要な知見が得られ、耐性機構および耐性誘導の結果から、全ゲノム解析およびRNAシークエンスを行うべき菌株の選定も済み、実施のための環境も整った。一方で抗酸菌におけるsRNAに関する情報取集も行っており、M. abscessus、M. chelonae、M. fortuitumの標準菌株のゲノムにおけるsRNAの分布についてもin silicoで解析中である。しかしながらゲノム解析、RNAシークエンスの進行が遅れている。新型コロナウイルス流行によって、本研究のために実験室を使用することが厳しくなったこと、および研究の遂行に時間を割けるスタッフが減ってしまったことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノム解析およびRNAシークエンスを続け、読んだリードを全ゲノムにマッピングしていく。M. abscessus(MABとMMA)、M. chelonae、M. fortuitumについて、標準菌株、臨床分離株(薬剤投与下を含む)の両方を調べ、比較する。sRNAの詳細について解析を継続する。
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Causes of Carryover |
今年度の未使用残額は5312円であった。試薬購入代金の合計が予算金額に達しなかったことが原因である。残額なしになった訳ではないが、未使用の残金は次年度の試薬購入代金に充当する方針である。
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