2021 Fiscal Year Research-status Report
広域スペクトル活性を有する高病原性ウイルス感染症治療薬の開発
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19K08940
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
大黒 徹 北陸大学, 薬学部, 教授 (80291409)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コロナウイルス / 抗ウイルス薬 / ファビピラビル / フラボノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、日本で新型コロナウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬としてレムデシビルが特例承認され、続いてモルヌピラビル、パキロビッド(リトナビルとニルマトレルビルの合剤)も特例承認された。 これまで我々は、ファビピラビルとその誘導体による様々なRNAウイルスに対する抗ウイルス効果を検討してきた。ファビピラビルは、宿主細胞のヒポキサンチン グアニン ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)によって活性化されることが報告され、共同研究射のドッキングシミュレーションより、ファビピラビルの6位のフッ素(F)を塩素(Cl)や臭素(Br)に置換した誘導体や、構造を一部改変した誘導体がHGPRTに対し親和性が高いことを見出したため、学内の共同研究者にこれらの誘導体の化学合成を依頼した。合成された化合物に対する抗コロナウイルス活性を、定量PCR法とTCID50、プラーク減少法により評価を行った。 さらに、DNAウイルスにもRNAウイルスにも抗ウイルス活性を示すフラボノイドを以前より解析していたので、抗コロナウイルス活性を有するフラボノイドについても探索を行ったところ、イソフラボン骨格を有するフラボノイドで有望なものを見出すことができた。そこで、フラボノイドにフッ素等のハロゲンを付加した誘導体や、フラボノイドの骨格を開環した誘導体等も合成してもらい、それらの抗ウイルス効果について検討を行った。抗ウイルス効果の認められたフラボノイドについては、その作用機序の解明を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 令和3年度も当初予期できなかった新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が発出され、本大学も卒業研究に関わる学生の登校制限や、試薬類の欠品(ウイルス核酸抽出試薬の欠乏、 PCR酵素やチューブの欠品)、県外への移動の自粛等の事態に陥ったため、研究の遂行に大きな支障が出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症が世界的に大問題となっているため、ヒトコロナウイルス229E株を用いて、ファビピラビルやファビピラビル誘導体の有効性、特定承認されたレムデシビル、モルヌピラビル、リトナビルと抗ウイルス効果の比較、これらの薬剤存在下でウイルスを培養した際の耐性化ウイルスの出現と遺伝子変異について解析している。すなわち、それらの薬剤存在下の細胞で、ヒトコロナウイルスの培養を繰り返すことで薬剤感受性の変化やヒトコロナウイルスの遺伝子変異についても検討を行なっていく。 さらに、コロナウイルスに抗ウイルス活性を有したフラボノイドについて、作用機序の解析を試みている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、2021年度中に予定していた日本ウイルス学会(神戸)と日本薬学会学術集会(名古屋)の開催が突如オンラインに変更になったため、5名参加を予定していた出張旅費関連経費が支出できなくなっった。 また、当初の計画ではRNAウイルスとして、黄熱ウイルス、カリシウイルス、デングウイルスなど幅広く抗ウイルス活性を解析していく予定であったが、新型コロナウイルスの流行に伴い、標的ウイルスをヒトコロナウイルスだけに絞って解析を進めることにしたため、培養関係の消耗品の支出も減少した。
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Research Products
(5 results)