2021 Fiscal Year Research-status Report
ヘリコバクターシネディ感染症の治療戦略構築と伝播様式の解明
Project/Area Number |
19K08948
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 和弘 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (60466563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香取 幸夫 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20261620)
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
角田 梨紗子 東北大学, 大学病院, 助教 (40596095)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘリコバクターシネディ |
Outline of Annual Research Achievements |
Helicobacter cinaediは、近年易感染宿主において、再燃する菌血症や難治性蜂窩織炎、感染性大動脈瘤などの原因菌として大きな問題となっている。高齢化や治療の多様化に伴い、易感染宿主が増加する事で、H. cinaedi感染症は今後さらに増加していくものと考えられる。H. cinaediは、微好気培養という特殊な培養条件を要するため、培養による検出が難しいため、薬剤感受性、病原因子を含めた細菌学的情報や感染経路に関する情報が極めて乏しく、治療法や予防法が確立していないのが現状である。易感染宿主における菌血症や感染性大動脈瘤などの疾患は、致死的となり得るため的確な治療を迅速に行う必要がある。H. cinaediは、ヒトや動物の消化管内に生息するとされるが、ヒトや動物の保菌状況は明らかにはされていない。その一方で、H. cinaediのヒトへの感染経路のひとつとして、伴侶動物(ペット)からの感染の可能性も疑われている。本研究では、Ⅰ)薬剤感受性測定および薬剤耐性遺伝子の検出によるH. cinaedi感染症の治療法の検討、Ⅱ)ヒトおよび伴侶動物の糞便中のH. cinaediの保菌状況の把握、Ⅲ)H. cinaediの伝播様式と感染予防策について検討を行う予定である。本年度も臨床分離株と健常人および伴侶動物の糞便収集を継続して行った。収集した健常人および伴侶動物の糞便検体から培養よる菌株の検出が難しい場合が多く、培養条件をさらに工夫した。検体からDNA抽出を行い遺伝子解析による本菌の確認とおよび遺伝子型別も同時進めている。また、薬剤感受性測定のための適切な条件の検討も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体収集を継続し、検体からHelicobacter cinaediの同定を進めた。糞便検体は、培養と同時に微生物DNAの抽出を行い、H. cinaediの存在の有無の確認とMultilocus sequence typingによる型別も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き検体収集を継続する。培養によって得られたH. cinaedi株は薬剤感受性の測定を行い、適切な抗菌薬を検討する。また、Multilocus sequence typingによる型別も進め、臨床検体と健常人ボランティア、伴侶動物の保菌株との関連性を検討していく。得られや情報のまとめも進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
学会参加がオンラインとなったため、旅費が予定より少なかったため次年度使用額が生じた。次年度に塩基配列解析費用として使用する予定である。
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