2021 Fiscal Year Annual Research Report
生理学的薬物動態/薬力学モデルを応用した新たな抗MRSA薬個別化最適治療戦略
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19K08950
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 善裕 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (70452844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 泰弘 日本大学, 薬学部, 教授 (20644339)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗菌薬適正使用 / 抗MRSA薬 / 薬物濃度 / 抗菌薬投与設計 / 特殊病態患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA)はわが国において依然として最も分離頻度が高い薬剤耐性菌である。しかし現在使用可能な抗MRSA薬はわずか6種類である。本研究では『生理学的薬物動態/薬力学モデル (Physiologically-based Pharmacokinetics/ Pharmacodynamics)』を応用し、抗MRSA薬の個別化最適治療法を確立することを目的とした。抗菌薬適正使用のためには、既に薬物動態 (PK)および薬力学(PD) 理論が不可欠な時代となっている。しかし、近年のPK/PD研究は主に「健康成人(第Ⅰ相試験)での血中濃度」に基づく解析でしかない。そこで本研究では、新しい数理予測モデルとして注目されているPBPK/PDモデルを応用し、特殊病態(肝・腎障害、高齢者、薬物代謝酵素による遺伝的多型等)を有するMRSA感染症治療の個別化および最適化を目指した。 本研究を開始することにより得られた特殊病態下の各種抗菌薬の感染組織液薬物濃度(胸水、骨髄液、腹水、胆汁、縦隔、皮膚軟部組織等)と血中薬物濃度の同時・逐次解析により構築したPBPK/PDモデル式に基づき、特殊病態別に最適投与法を設計する汎用性の高いソフトウェアを開発することができた。これによりMRSA感染症患者に対して、特殊病態別にプロスペクティブに適用することが初めて可能となった。本研究で開発した抗菌薬投与設計ソフトウェアは抗MRSA薬を使用する全ての施設で利用可能な血中および組織中濃度を予測できるソフトウェアであり、抗MRSA薬の適正使用につながり、ひいては薬剤耐性(Antimicrobial Resistance: AMR)感染症の減少に貢献できると考えている。
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