2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K08952
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 正大 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20547533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓指 孝博 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (10250284)
青山 幾子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (90332452)
池森 亮 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 研究員 (90827255)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本紅斑熱 / リケッチア / ツツガムシ病 / モノクローナル抗体 / POCT |
Outline of Annual Research Achievements |
ダニ媒介感染症である日本紅斑熱と重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、それぞれ1984年と2013年に患者が報告された新興感染症であり、共に4類感染症に指定されている。両感染症の患者数は年々増加しており、全国で日本紅斑熱は2016年に505例(致命率:0.98%)、SFTSは2017年に90例(致命率:18.3%)報告されている。両感染症共に日本で古くから報告されているダニ媒介性感染症であるツツガムシ病とも臨床所見が非常に類似している。しかしながら、これらの感染症に対する検査には時間を要し、臨床現場において検査結果を治療計画に役立てることはほぼできていない。そのため、臨床現場即時検査(POCT)法として迅速鑑別診断キットの開発が求められている。 本研究では、日本紅斑熱リケッチア、ツツガムシ病リケッチア、及びSFTSウイルス(SFTSV)の鑑別診断用POCTとして抗原検出イムノクロマトグラフキットの開発及び評価を行うことを目的としている。日本紅斑熱リケッチア及びツツガムシ病リケッチアそれぞれに特異的なマウスモノクローナル抗体はホルマリン不活化したリケッチア抗原をマウスへ投与することにより免疫を誘導し、細胞融合法よりハイブリドーマの作出を行った。一方、SFTSVに対する抗体に関して研究代表者が研究分担者として行う「日本と近隣諸国間で行き来する輸入ウイルス感染症に対する迅速診断法の開発」にて作製する抗体を使用する。これまでに、日本紅斑熱リケッチアに対する複数の特異抗体産生ハイブリドーマの作出に成功したものの、その後の解析の結果迅速診断キットへの応用には不十分な性状であったため、再度ハイブリドーマの作出を行っている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本紅斑熱リケッチアに特異的なマウスモノクローナル抗体はホルマリン不活化したリケッチア抗原をマウスへ投与することにより免疫を誘導し、細胞融合法よりハイブリドーマの作出を行った。その結果、日本紅斑熱リケッチアに対する複数の特異抗体産生ハイブリドーマの作出に成功したものの、その後の解析の結果、それらの産生抗体は迅速診断キットへの応用には不十分な性状であったため、現在再度ハイブリドーマの作出を行っている。 一方、SFTSVに関してはすでに抗体の作出及びその抗体を用いたSFTSV単独の検出キットの開発をすでに行っており、キットの評価の途中ではあるものの十分な性能を有するものが作成できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
再度日本紅斑熱リケッチアに対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作出すると共に作製した抗体を用いて日本紅斑熱を単独に検出可能な迅速診断キットをまず開発し、そのキットの評価を培養病原体および臨床検体を用いて行う予定である。 また、すでにSFTSVに対する迅速診断キットの開発が順調に進んでいることから、このキット上に日本紅斑熱に対する抗体をのせ、マルチ検出迅速診断キットの開発を試みる。 並行してキット評価用の臨床検体のさらなる収集を並行して行い、キットの評価に用いるう予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックによりこれまでの研究計画に遅延が生じたことから、想定よりも本年度の使用金額が少なかった。 延長手続きを行ったことから今年度は最終年度となるが、これまで遅延していた抗体作製、その性状解析、キットへの応用は本年度中に遅延を取り戻すことは可能であると考えている。また、抗体検出ELISAに関しても、本年度中の系の確立並びに評価を目指す。
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