2019 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of rabies post-exposure prophylaxis for category III exposure
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19K08957
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
西園 晃 大分大学, 医学部, 教授 (70218155)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 狂犬病 / 曝露後治療 / 血液脳関門 / 免疫グロブリン / 抗ウイルス薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
今もなお全世界で流行している狂犬病は致死率ほぼ100%のウイルス性脳炎であるが、曝露後治療(PEP)により発症阻止が可能である。しかし、高い生産コストや供給量不足、短い保存期間といった問題のために免疫グロブリン(RIG)が使用できないことや、非常に危険度の高い重度の曝露、すなわち頭頸部への曝露等の理由により「PEPが失敗」するケースがある。グローバル化が進んだ現在、狂犬病は日本おいても渡航医療の観点から考えるべき問題である。我々は以前に抗ウイルス薬がRIGの代替になり得ることを報告し、脳内からのウイルス排除には血液脳関門(BBB)の透過性を亢進させることが重要であるという知見もある。そこで本研究では、重度の曝露に対する、アクセスしやすく効果のあるPEPレジメン提案に向け、RIGの代替としての抗ウイルス薬の有効性およびBBB透過性亢進処置の有効性の検証について、マウスモデルを用いて行うことを計画する。 今年度はまず、化合物のBBB透過性を亢進させる修飾剤の効果について検討を行った。すなわち、抗ウイルス薬ファビピラビルについてラクトース修飾ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンにより修飾した場合、レポーターアッセイによりマウス神経系Neuro-2a細胞において狂犬病ウイルスに対する増殖抑制効果の増強が確認できた。一方、狂犬病ウイルス感染マウスモデルにおいては潜伏期間から血中中和抗体価の上昇が認められるが、それによる脳内ウイルスの排除が起きないことが判明している。そこで、感染マウスを用いて血中抗体の脳への流入を促進させる百日咳毒素投与について検討を行ったが、有効性を示す結果は得られなかった。また、血液脳関門の透過性を亢進させる処置法として、マイクロバブル・経頭蓋的集束超音波併用法についても検討しており、その実施に必要な機材についてセットアップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだin vitroの結果であるが、抗ウイルス薬の効果を亢進させる方法を見出せたことから、本研究の目的達成に向けて一定の成果が得られたと考えられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度については次のとおりに進める計画である。ラクトース修飾ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンにより修飾したファビピラビルの狂犬病ウイルスに対する効果について、感染マウスを用いてin vivoイメージングにより定量的評価を行う。また、マイクロバブル・経頭蓋的集束超音波併用法については、まずはマイクロバブル投与後の超音波照射についての至適条件検討を、非感染マウスにおける蛍光色素(インドシアニングリーン等)の脳への漏出を指標に行う。続いて、同併用法による抗ウイルス薬送達の頭部ウイルス感染に対する有効性の検証を行う。すなわち、感染マウスに抗ウイルス薬もしくは抗狂犬病免疫グロブリンを投与し、さらに同併用法を施して、抗ウイルス効果の改善が認められるか、in vivoイメージングにより定量的評価を行う。
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Research Products
(7 results)