2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト皮膚組織モデルを用いたβ溶血性レンサ球菌の侵襲性因子解析
Project/Area Number |
19K08964
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
輪島 丈明 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (00516669)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | β溶血性レンサ球菌 / 3次元皮膚組織モデル / SDSE |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の基盤となる改良型3次元皮膚組織モデルの構築ならびにStreptococcus dysgalactiae subsp equisimilis(SDSE) 臨床分離株の解析を行った。従来、使用されている3次元皮膚組織モデルは、角質層と間質層の2層構造を持つものが多い。一方で、近年感染症の発症には脂肪細胞が関与していることが報告されている。そこで、本研究では脂肪細胞を含む3次元皮膚組織モデルを構築した。まず、不死化したヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hBMSC)に対し、サプリメントを添加し、高率に脂肪細胞に分化する条件を探索した。その結果、脂肪細胞への分化効率を40%以上にすることができた。そこで、細胞を3次元組織モデル系の最下層に組み込み組織中で分化させた。得られたモデルの凍結切片を作成し、蛍光染色ならびにOil redO染色を行ったところ、間質層の下層に脂肪細胞に特異的な抗原が発現していることならびに、細胞中への脂質の蓄積が認められた。さらに、RT-qPCRにより、脂肪細胞のマーカーであるPPARgammaならびにC/EBPaの転写量を測定したところ、本モデルでは、未誘導のモデルに対し有意に高いことが明らかとなった。 一方で菌側の解析として、SDSE 臨床分離株の収集ならびに型別を行った。侵襲性感染症由来株では、clonal complex(CC)17に分類される菌株が依然として多いことを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、改良型3次元皮膚組織モデルに、高病原性Streptococcus dysgalactiae subsp equisimilisを感染させ、侵襲性メカニズムの解析ならびに侵襲性に寄与する因子を同定することを目的としている。これまでの研究を通じて、脂肪細胞を含んだ改良型3次元皮膚組織モデルを作成することができた。また、菌株の解析からCC17に分類される株が依然として、高病原性を示すことが明らかとなった。これらを用いることで、次年度感染実験を行うことが可能になると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
改良型3次元皮膚組織モデルが構築できたことに加え、高病原性と推定される型を見出した。次年度は、高病原性SDSEを改良型モデルに感染させ、菌数の測定、凍結切片の作成・各種染色、培地中のサイトカインの定量を行う。これにより菌の増殖性、透過性、組織の損傷度を明らかにする。また、高病原性株について、全ゲノム解析ならびに感染後経時的にRNAseq解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度の残額は、次年度全ゲノム解析やRNAseq解析の外注に使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)