2020 Fiscal Year Research-status Report
網膜オルガノイドを用いた急性網膜壊死の発症機序解明
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19K08965
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
武本 眞清 北陸大学, 薬学部, 講師 (60379237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周尾 卓也 北陸大学, 薬学部, 講師 (90399006)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | VZV / tricin / foscarnet / iPS細胞 / 網膜色素上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、網膜オルガノイドに水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)を感染させ、急性網膜壊死(ARN)の発症機序を明らかにすることを目的としている。 前年度は、VZVの力価低下とコロナ禍により当初の計画より遅れたものの、ヒト網膜由来細胞株におけるウイルス増殖能の比較解析を予定通り行い、網膜ミュラー細胞株(MIO-M1)では網膜色素上皮細胞株(ARPE-19)と比較してVZVの増殖能が著しく低いことを明らかとした。 今年度は、前年度までに作成した網膜オルガノイドを用いて、ウイルス感染性の検討、炎症誘導機構の解析、抗ウイルス薬・プロテアーゼ阻害薬の効果の解析に着手する予定であった。しかし、網膜オルガノイドの作成において問題が生じ、手法の見直しを迫られた。参考文献(Stem Cell Res & Therapy. 2018. 9: 156)ではバイオリアクターの使用が、オルガノイド形成の効率を上げるとしているが、不使用でもオルガノイドの形成は可能とされていた。しかし、実際にはRHODOPSIN陽性桿体細胞や、CALBINDIN陽性のアマクリン細胞や水平細胞の発生が見られない、不完全なオルガノイドが形成された。培養プレートをシェーカーによって攪拌し、改善を試みたが失敗に終わった。そこで参考文献から見直し、より成功率が高いと期待される網膜オルガノイド作成法を採り入れることとしたが(Curr Protocols in Stem Cell Biol. 2020. 55: e120)、それによる改善効果の確認には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」にも記載した通り、オルガノイド作成方法を一から見直す必要に迫られたため、予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに採り入れた方法に則って改めて網膜オルガノイドを作成中であり、これによる細胞分化・誘導が十分に行えていることが確認出来次第、VZV感染性の検討、炎症誘導機構の解析、抗ウイルス薬・プロテアーゼ阻害薬の効果の解析に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
ウイルスストックの調製に手間取ってしまい、網膜オルガノイドの作成に遅延が生じたため。オルガノイド作成の回数を増やすことで吸収されるものである。
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