2021 Fiscal Year Research-status Report
網膜オルガノイドを用いた急性網膜壊死の発症機序解明
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19K08965
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
武本 眞清 北陸大学, 薬学部, 准教授 (60379237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周尾 卓也 北陸大学, 薬学部, 講師 (90399006)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | VZV / HSV / 網膜オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、網膜オルガノイドに水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)および単純ヘルペスウイルス1型、2型(HSV-1, HSV-2)を感染させ、急性網膜壊死(ARN)の発症機序の解明や治療薬の検討に寄与することを目的としている。 前年度は、網膜オルガノイドの分化状態が不十分であったため誘導方法の再検討を迫られ、ウイルス感染までは行うことができなかった。そのため当初の予定より大幅に遅れが生じている。 今年度、新たな文献(Berber et al. J Transl Genet Genom 2021;5:292-303)を参考に網膜オルガノイドを作成した結果、以前の誘導方法では分化が見られなかった細胞(桿体細胞、アマクリン細胞、水平細胞)の分化に改善が認められた。そこで、ウイルスの感染性を検討するために、HSV-1 McKrae株およびVZV pOka株を網膜オルガノイドに感染させたが、用いたウイルス力価(10^4/ml)と感染方法(室温1時間吸着)では、感染は認められなかった。分担研究者の実験では、transwell上で分化させた網膜色素上皮細胞にVZVを感染させたところ、同様の条件でapicalからは感染するがbasalからは感染しないことが明らかとなった。網膜オルガノイドの表面が網膜色素上皮細胞のbasal面に相当することを考慮すると、これらの結果には整合性がある。今後、感染条件(ウイルス力価と感染方法)のさらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」にも記載した通り、オルガノイド作成方法の再検討およびウイルス感染の不成立により、予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルス力価に関しては、HSVとVZVを比較するためにVZVに合わせて10^4/mlとしたが、HSVは最大10^7/mlに上げることが可能である。HSVだけでも、オルガノイド表面からの感染が可能かどうかを検討する。また、感染方法に関しては、オルガノイド表面への吸着だけでなくマイクロインジェクション等による内部への感染性を検討していく。
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Causes of Carryover |
ウイルスストック液の力価が上がらない間、網膜オルガノイドの作成を中断せざるを得ず、実質的に実験の回数自体が減ってしまったため。
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