2023 Fiscal Year Annual Research Report
肺MAC症の増加要因と抗菌薬に対する治療抵抗性の解明
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19K08966
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
打矢 恵一 名城大学, 薬学部, 教授 (70168714)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺Mycobacterium avium感染症 / 薬剤抵抗性 / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、治療に難渋する肺MAC症の予防および治療の観点から、Mycobacterium aviumの抗菌薬に対する抵抗性(低感受性)や耐性化、さらに国内での増加要因について、比較ゲノムを基盤とした網羅的な遺伝子解析により解明することである。 最終年度は、M. aviumの抗菌薬に対する抵抗性の要因を調べるために、肺M. avium症患者由来株や全身播種型M. avium症患者由来株に加えて、ブタ由来株を用いて薬剤感受性の比較を行った。これまでの結果から、肺M. avium症患者由来株は全身播種型M. avium症患者由来株に比べて、clarithromycin(CAM)を含む種々の抗菌薬に対して、より高い抵抗性を示した。今回の結果において、肺M. avium症患者由来株はブタ由来株においてもより高い抵抗性を示した。 これまで、M. aviumの抗菌薬に対する抵抗性や耐性化、さらに国内での増加要因について解明を行ってきた。その結果、以下に示す研究成果が得られた。 肺M. avium症患者由来株は、全身播種型M. avium症患者由来株やブタ由来株に比べて、CAMを含む種々の抗菌薬に対して、より高い抵抗性を示した。さらに、それぞれの由来株のゲノムを用いてSNPs(single nucleotide polymorphisms)解析を行った結果、3者は異なるクラスターを形成し遺伝学的に違いがあることが判った。そして、肺M. avium症患者由来株に特異的に存在する遺伝子領域には、以前に同定したpMHA135プラスミドが存在しており、この存在が薬剤抵抗性に関与している可能生が考えられた。 国内での増加要因についても、海外由来のM. aviumのゲノムと比較した結果、pMHA135は国内由来株に特有であり、pMHA135と国内での増加要因との関連性が強く示唆された。
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Research Products
(10 results)