2022 Fiscal Year Annual Research Report
The immune responses induced by BCG vaccination in the non-human primate TB model
Project/Area Number |
19K08968
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
辻村 祐佑 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (30512404)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結核 / BCG / カニクイザル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が構築したヒト肺結核病態を再現できるカニクイザル結核モデルを用いて、①BCGは全身性結核には非常に強い防御効果を示すものの、肺結核に対する効果は弱いこと、②BCGのワクチン効果と相関する結核抗原特異的免疫応答や肺局所への浸潤細胞、血液炎症マーカーは認められなかったこと、③肺への肉芽腫形成や殺菌能についてBCGワクチンとの関連性は認められないことを見出した。 令和4年度は、BCGのワクチン効果が有ったサルと無かったサルの末梢血単核球細胞を用いたフローサイトメトリー解析を行った。結核抗原特異的なメモリーT細胞のサイトカイン産生や自然免疫担当細胞(γδT細胞、MAIT細胞、NKT細胞、好中球、マクロファージなど)とワクチン効果の関連性を検討したが、相関するファクターは認められなかった。次いで、BCG接種にて効果が有った個体と無かった個体の血漿を用いたメタボローム解析を行った。その結果、BCGワクチンの効果を示さなかった個体ではメチオニン・システイン代謝経路に異常が認められた。しかし、BCG接種群10頭のうちの1頭のみのデータであることから他の個体での再現性を確認する必要がある。 BCGワクチンの肺結核に対する効果が弱い可能性を考え、肺結核も標的とした追加免疫法として、ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス (HPIV2) に結核抗原を組み込んだ粘膜免疫誘導型ワクチンの開発を進めた。我々が開発したカニクイザル結核感染モデルにてHPIV2のワクチン効果を検討した。その結果、HPIV2ベクターにESAT6+MDP1のタンデム抗原(EM)もしくはAg85B(A)を積んだ2種類の混合ワクチンrHPIV2-EM+Aの経鼻接種にて非常に強い肺結核に対する防御効果が認められた。引き続き、BCGの初回免疫+HPIV2の追加免疫の可能性について検討していく。
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