2021 Fiscal Year Annual Research Report
統合的脳機能を支える甲状腺ホルモンの精神基盤構築への接点
Project/Area Number |
19K08969
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 克哉 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (40344709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井樋 慶一 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (60232427)
片山 統裕 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (20282030)
佐藤 達也 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (00568222)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 甲状腺機能低下症 / パルブアルブミン / CUX1 / MeCP2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では甲状腺機能低下における甲状腺ホルモンの減少がもたらす大脳皮質および海馬における神経組織学的変化を観察してきた。周産期の甲状腺ホルモン量の低下はこれらの領域におけるパルブアルブミン発現の低下やMeCP2発現の低下並びに局所的な増加、加えてCUX1発現の低下を導くことが明らかになった。そこで、まずパルブアルブミンに関して、その遺伝子上流に甲状腺ホルモン受容体の結合サイトが存在するか否かをin silico解析を用いて評価したところ、甲状腺ホルモン受容体応答配列に類似する領域がいくつか散見された。また、パルブアルブミン遺伝子にはプロモーターサイトの異なる2つのバリアントが存在することから、大脳皮質および海馬に加えて小脳におけるこれらの発現を確認した。小脳においては2つのパルブアルブミン遺伝子の存在が確認されたが、大脳皮質および海馬では単一の遺伝子のみが発現していた。現在レポーターアッセイと共に、これらのバリアントの生理的意義を探索中である。また、甲状腺ホルモンの減少がもたらすパルブアルブミン発現の影響をより詳細に観察するために、予備的ではあるが、全脳における発現変化の解析をおこなった。全脳のスライス標本に対して免疫染色を行い、各切片についてタイリング処理をし、Songらが開発したAMaSiNe脳内単一ニューロンマッピングソフトウェア(Song et al., 2020 Cell Reports)を活用し、脳スライスサンプル情報を自動マッピングし全脳組織におけるパルブアルブミン発現分布を網羅的に捕捉した。大脳皮質においては領野間でその変動率が異なることが明らかとなり、現在再現性を確保するために実験数を増やして再実験をおこなっている。
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Research Products
(3 results)