2019 Fiscal Year Research-status Report
肝糖新生におけるType2 Innate Lymphoid Cellの役割の解明
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19K08972
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤本 真徳 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60835081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
永野 秀和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (60788876)
横山 真隆 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20514871)
橋本 直子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (10724875)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ILC2 / IL33 / GATA3 / 血糖 / 肝糖新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規免疫細胞である2型自然リンパ球(ILC2)は、脂肪組織において白色脂肪を褐色化させることが報告され、その糖代謝改善作用が注目されている。しかし、肝臓などインスリン標的臓器におけるILC2の役割は明らかでない。申請者は、これまでにマウスより肝臓特異的なILC2の同定/単離に成功し、肝臓ILC2がIL-13を介して強力な糖新生抑制作用を発揮することや、肝臓ILC2から分泌されるIL-13がヒト肝細胞においても直接糖新生を抑制することを見出した。本研究では、肝臓ILC2/IL-13による糖代謝制御機構を解明するために、シグナル依存的GATA3転写複合体機能のメカニズムを明らかにすることを目的とする。肥満や糖尿病などの生活習慣病との関わりの中で、肝臓ILC2を標的とした細胞種特異的GATA3制御シグナルの解明することで、新規糖尿病治療シーズの探索へと発展させることを目指す。本研究において、FACSでsortしたILC2のomics解析による、肝臓ILC2における活性化の分子メカニズムの解明を目指している。具体的には、既に確立した肝臓特異的なILC2の単離(FACS sortingシステム)を応用し、マウスよりインスリン標的臓器(肝臓・脂肪)と脾臓を対象に、ILCとTh細胞分画を採取して、cytokine/転写因子プロファイルおよびRNA-seq・ChIP-seq解析を行った。同様に、肥満マウスモデルの肝臓・脾臓から、ILCとTh細胞分画を採取して、RNA-seqもあわせて行った。FACS sortに先立つ酵素処理であるについては検討を要した。酵素処理によって、ILC2の表面マーカーが消化され、みかけ上のILC2の取得細胞数を大幅に減らしていたからである。酵素処理法を最適化し、強力な増殖シグナルであるIL33刺激を受けていないマウスからも、解析に耐える細胞数を取得できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓ILC2、比較対象としての肺ILC2、脾臓ILC2のFACSによるsort条件の確立を重点的に行った。さらにそこから、ATAC-seq、RNA-seq、GATA3-ChIP-seqを条件検討のうえ行った。我々はGATA3の肝臓ILC2におけるシグナル制御機構に関心を持っており、前述の3者の情報を統合的に解釈した。さらに、培養した肝臓ILC2のGATA3-IP/MASSを行い、複合体解析もあわせて行った。sortできるILC2の細胞数が限定的であったため、マウスの匹数を増やすことが必要であった。また、解析の信頼性を損なわない程度の細胞数については、共同研究者の助言も参考にしながら、慎重に検討した。最終的には現実的な実行可能性と、許容できる信頼性から、取得細胞数を決定し、各サンプルを数日に分けて取得した。解析に際しても共同研究者とともに、全体の論文の流れを踏まえたうえで、解析の方向性、解釈についてdiscussionとdata解釈を重ねた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらにGATA3機能制御に関連する結合分子を絞り込み、今後はsiRNAを用いた機能の変化を検討する予定である。また、重要な結合分子XXXが同定されたら、さらにXXX-ChIP-seqを行い、GATA3の結合motifが検出されるか確認し、また、GATA3-ChIP-seqでみられた結合motifとの共通性と非共通性について考察する予定である。最終的には、新規結合分子の遺伝子改変マウスを用いて、これまでにみた血糖のphenotypeが変化することまでみられたらよいと考えている。また、GATA3と結合分子の関係性については、in vitroの解析を主として、siRNA、ATAC-seq、ChIP-seqなどを組み合わせることで、GATA3複合体の役割や関係性をさらに深めていきたいと考えている。解析に関しては、AIの専門家ともdiscussionを行い、より新規性の高い情報を得る解析方法がないか検討していく。
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Research Products
(4 results)