2019 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋Pin1による運動機能及びエネルギー代謝調節機構の解明
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19K08982
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中津 祐介 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (20452584)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Pin1 / SERCA / 骨格筋 / Sarcolipin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、プロリン異性化酵素Pin1の骨格筋での役割を明らかにするものであるが、 本年は以下のことを明らかにした。 ①骨格筋でのPin1結合蛋白として筋小胞に存在するSERCA1/2を同定した。まず、Pin1とSERCAとの結合を、293T細胞での過剰発現系により確認した。また、proximal ligation assay法(PLA法)により、マウス骨格筋での内在性の結合も確認した。 ②Pin1のSERCA1/2機能制御について検討するために、マウス骨格筋から小胞体を含むミクロソーム画分を調整し、SERCA活性への影響について検討した。その結果、Pin1欠損により骨格筋のSERCA活性が顕著に減少したことから、Pin1はSERCA活性の促進に関与していると考えられた。SERCAの活性は、phospholamban (PLN)と呼ばれる小蛋白が結合することで阻害される。そこで、Pin1がSERCAとPLNの結合に影響するかを検討したが、両者の結合には影響しなかった。以上より、Pin1はPLN非依存的にSERCA活性を調節していると推測された。 ③骨格筋での非ふるえ熱産生は、SERCAとSarcolipinの結合により行われる。そこで、Pin1が両者の結合に影響するかを、PLA法により検討した。WTマウスの骨格筋では、両者の結合が多数確認されるが、Pin1 KOマウスの骨格筋では、その結合数が減少していた。以上のことより、Pin1はSERCAとSarcolipinの結合を促進することで骨格筋での熱産生を亢進し、抗肥満作用を発揮すると考えられた。 ④コルチコステロン負荷マウスを作製し、骨格筋でのPin1発現量を検討したところ、顕著に減少していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格筋Pin1の新たな役割を明らかにするとともに、ステロイド投与時の骨格筋Pin1の発現量が顕著に減少していることを見出したから。
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Strategy for Future Research Activity |
①Pin1がSERCA-SLN複合体を介して骨格筋の酸素消費量に影響を与えるかを検討する。 ②カルシウムシグナルへの影響を検討する ③高脂肪食負荷時の全身の酸素消費量を調べる。 ④高脂肪食負荷時の運動能力を検討する。 ⑤骨格筋特異的Pin1 KOマウスを用い、ステロイド投与時の筋委縮にPin1が関与するかを検討する。
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Causes of Carryover |
細胞を用いたin vitroの研究は、比較的スムーズに進行したが、マウスの飼育の関係で in vivoでの研究が一部滞った。そのため、当初本年度に行う予定であった計画の一部を次年度に移す必要性が生じた。 今年度は、元々予定していた研究計画と前年度から繰り越した一部のin vivoの計画を同時進行で行う予定である。
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