2020 Fiscal Year Research-status Report
トランス脂肪酸が細胞膜の機能を変化させる仕組みの解明
Project/Area Number |
19K08989
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
袴田 秀樹 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70284750)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | トランス脂肪酸 / 低比重リポタンパク質 / 高比重リポタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、マクロファージからの高比重リポタンパク質新生に着目して研究を進めた。一般に高比重リポタンパク質新生を観察するには、培養細胞のコレステロールまたはリン脂質を放射性同位元素でラベルし、その後遊離のアポ蛋白A-1と保温して、培地中の放射活性を測定する。本研究では、高比重リポタンパク質新生を観察した後の細胞を分画し、液体クロマトグラフィー-質量分析法によるリピドミクス解析を行う。そのため、放射性同位元素によるトレーサー実験は、同位体分布パターンを複雑にするため望ましくなく、アポ蛋白A-1によって引き抜かれたコレステロールの総量を定量する方がシンプルである。そこで、培地中のコレステロールを高感度に定量できる測定系の構築に取り組んだ。種々の方法を比較検討した結果、細胞実験後の多検体を簡便に処理できる方法として、コレステロールオキシダーゼと西洋わさびペルオキシダーゼを利用し、生成したレゾルフィンの蛍光を測定する酵素蛍光法が最も適するとの結論に至った。本法を細胞実験に応用するため、マウスのマクロファージ系の細胞であるJ774.1細胞を培養し、アセチル化修飾した低比重リポタンパク質と保温して泡沫化させた。これをアポ蛋白A-1と保温し、培地中のコレステロールを定量すると、アポ蛋白A-1の添加によって培地中のコレステロール濃度が増加することを観察できた。本細胞実験系は、アポ蛋白A-1非添加時に観察される蛍光のバックグラウンドが比較的高く、改良の余地は残っているが、本研究の主目的であるトランス脂肪酸の効果の検討には適用可能と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進めているが、研究成果の概要で述べたように、改善したほうがよい点も明らかになってきている。研究計画の大幅な修正を必要とするものではないので、改善に取り組みながら研究を遂行する。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度も、基本的に計画通りに進める。細胞実験についての基礎検討を行ったので、改善点に取り込みながら、トランス脂肪酸の効果を検討する。更に、液体クロマトグラフィー-四重極飛行時間型質量分析計によるホスファチジルコリンのターゲットリピドミクス解析を進める。
|
Research Products
(1 results)