2021 Fiscal Year Annual Research Report
トランス脂肪酸が細胞膜の機能を変化させる仕組みの解明
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19K08989
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
袴田 秀樹 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70284750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トランス脂肪酸 / 質量分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、質量分析法(超高速液体クロマトグラフィー-四重極/飛行時間型質量分析法:UHPLC-Q/TOF MS)を導入し、トランス脂肪酸を側鎖とするリン脂質が細胞膜に取り込まれた際、その効果を定量的に評価するための分析法として確立した。測定対象物質として、代表的なトランス脂肪酸であるエライジン酸を側鎖に持つホスファチジルコリン(PC 18:1 9-trans)、シス型の脂肪酸であるオレイン酸を側鎖に持つホスファチジルコリン(PC 18:1 9-cis)、飽和脂肪酸であるステアリン酸を側鎖に持つホスファチジルコリン(PC 18:0)、オレイン酸とステアリン酸を側鎖とするホスファチジルコリン(PC 18:0/18:1)、内標準物質としてヘプタデカン酸を側鎖に持つホスファチジルコリン(PC 17:0)を選択し、UHPLC-Q/TOF MSの種々の測定条件の検討を行った。その結果、分離カラムにODSカラム、移動相にギ酸アンモニウムを含む水/アセトニトリル混液(1:1, v/v)と2-プロパノール/アセトニトリル混液(9:1, v/v)のグラジエント溶出、検出にプロトン付加分子を用いて、最適な測定条件を決定することができた。その条件下で、上記の測定対象物質は25分以内に完全分離し、5 nmol/Lから5 μmol/Lの濃度範囲で、相関係数0.993以上の直線性を示した。繰り返し測定(n=6)の併行精度は2.76%以下、室内再現性(n=3)は4.83%以下であり、精度にも優れていた。以上の分析能パラメーターは、細胞試料へ供するのに十分であり、適切な細胞前処理法と組み合わせれば、トランス脂肪酸負荷後の細胞膜の組成変化を観察するための分析法として適用可能と考えられた。
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