2020 Fiscal Year Research-status Report
グルコキナーゼの制御による膵β細胞量調節メカニズムの解明
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19K08992
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 昭伸 北海道大学, 医学研究院, 講師 (70552420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グルコキナーゼ / 膵β細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、グルコキナーゼの制御による膵β細胞量調節メカニズムの解明をすすめ、グルコキナーゼを標的とした2型糖尿病に対する新たな予防法・治療法の確立を目指すため、膵β細胞グルコキナーゼの抑制が膵β細胞量に与える影響を検討した。 方法として、肥満2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスとグルコキナーゼヘテロ欠損マウスを交配させ、グルコキナーゼヘテロ欠損db/dbマウスを樹立させた。その表現型を解析したところ、対照群であるdb/dbマウスに比し、グルコキナーゼヘテロ欠損db/dbマウスの随時血糖は13週齢以降より改善を認めた。経口ブドウ糖負荷試験においても、グルコキナーゼヘテロ欠損db/dbマウスの有意な耐糖能の改善を認めた。そして24週齢のグルコース応答性インスリン分泌および膵β細胞量を比較したところ、db/dbマウスに比し、グルコキナーゼヘテロ欠損db/dbマウスで増大を認めた。また、db/dbマウスに比し、グルコキナーゼヘテロ欠損db/dbマウスにおいて、生存期間の有意な延長を認めた。さらに単離膵島を用いた解析より、グルコキナーゼヘテロ欠損db/dbマウスでmetabolic stress関連遺伝子群の減少、膵β細胞機能関連転写因子発現の増加、細胞内代謝パターンの改善を認めた。以上より、膵β細胞におけるグルコキナーゼの抑制が、膵β細胞機能ならびに量を保持することで耐糖能を改善するということを明らかにした。本結果から、膵β細胞における過剰なグルコース代謝の適正化が2型糖尿病の新たな治療ターゲットとなり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵β細胞グルコキナーゼの抑制が膵β細胞量に与える影響についての検討は、すでに国内外で学会発表を行っており、さらに論文化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
膵β細胞グルコキナーゼの抑制が膵β細胞量に与える影響に関する更なる詳細なメカニズムを明らかにするため、in vitroによる検討を予定している。
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Research Products
(3 results)