2020 Fiscal Year Research-status Report
Ketosis-prone diabetesにおける細胞性免疫異常
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19K09010
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
島田 朗 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60206167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 洋一 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30296561)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 細胞性免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ketosis-prone type 2 diabetes(以下、KPD)におけるインスリン分泌低下が経年的に進行性であることから1型糖尿病に類似の病態を有するのではないかと考え、昨年度、細胞性免疫能を検討したところ、1型糖尿病において認められるインスリンペプチド反応性T細胞が、KPDにおいても1型糖尿病と同レベルに検出されることを見出した。 本年度は、遺伝背景の検討のため、HLA型について検討したところ、1型糖尿病の疾患感受性HLAについては、その頻度の増加は認めなかったが、HLA DRB1*08:03が、健常人に比べ、有意にKPD群で多いことを新たに見出した。 DRB1*08:03との関連が示唆されている他の疾患としては、シェーグレン症候群や原発性胆汁性胆管炎が過去に報告されているが、これらの疾患は、外分泌組織、あるいは、duct(導管)に炎症をきたす疾患であり、我々は、KPDにおいて、膵外分泌組織、あるいは、膵管に対する免疫応答が存在する可能性があるのではないかと考えている。実際、KPD症例では糖尿病ケトアシドーシスの経過中、膵外分泌酵素の上昇をしばしば経験するがその意義は不明のままである。これまでのところ、プレリミナリーな検討ではあるが、KPD患者をDRB1*08:03を有する群と有さない群とに分け、それぞれの膵外分泌酵素値を比較したところ、KPD患者においてDRB1*08:03を有する群では有さない群に比べて膵外分泌酵素値が高い傾向を認めている。現在、細胞性免疫異常と遺伝背景に注目して、KPDにおける膵外分泌酵素上昇の意義を明らかにし、その病態の本質を見出すことを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、 細胞性免疫能については再現性を確認し、また、HLAとの関係については、これまでにない新しい知見を得ている。さらに、1型糖尿病のみならず、KPDの急性代謝失調時に少なからず観察される膵外分泌酵素値の異常と特定のHLAとの関係についても見出しており、われわれが仮説として提示している「KPDが1型糖尿病の新しいサブタイプである」ことを示唆する成績を昨年以上に得ているのみならず、膵外分泌組織への自己免疫応答の可能性といった全く新しい病態が存在する可能性も見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞性免疫能、特に抗原特異的T細胞反応性の評価について、これを専任で行う常勤の実験補助者もいるが、これまで主として行ってきたインスリンペプチドを用いた検討のみならず、他の膵組織関連抗原を用いた検討についても計画中である。また、糖尿病患者のデータベース、血液などの検体管理システムもすでに確立しており、別の研究補助者が常時管理しているが、研究補助者のさらなる増員などにより、件数を増やせる体制を構築していく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、臨床検体を用いており、症例数については、一定のペースで増えていくとは限らないのが実状である。したがって、ある程度の検体数が集まった段階で測定を行うため、次年度使用額が生じた。今後も、各項目についてまとまった数について測定する計画である。
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Research Products
(7 results)