2019 Fiscal Year Research-status Report
肥満脂肪組織における代謝異常と臓器連関;プリン代謝およびコリン代謝異常に着目して
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19K09023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西澤 均 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20379259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 法一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30506308)
藤島 裕也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10779789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪組織 / 内臓脂肪蓄積 / プリン代謝 / コリン代謝 / 肝細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
A)血漿XORの生理病態学的意義と臓器連関 糖尿病教育入院症例28名を対象とした横断解析において、血中XOR活性と肝酵素が強く相関すること、また2週間の血糖コントロール入院において、特に血中XOR活性高値の例で有意に低下すること、その変化が肝酵素と強く連関することを見出した。以上のデータを内分泌学会及び痛風・尿酸核酸学会総会で発表し、論文執筆している。 高度肥満症例症例を初診時、術直前、術後1週間、そして術後1年までフォローしており、症例蓄積中で、現在12名の血液サンプルと臨床データを収集した。今後も20例を目標に症例を蓄積し、肥満外科手術後の体重変化や肝機能と血中XOR活性の関係を検討する予定である。 B)脂肪細胞SLC5A7の生理病態学的意義と脂肪組織コリン代謝の解明 遺伝性肥満モデルマウス(ob/obマウス)と食事誘導性肥満モデルマウス(高脂肪高ショ糖食負荷マウス)の脂肪組織、特に成熟脂肪細胞画分においてSLC5A7の遺伝子発現量および膜画分における蛋白量が著増していることを見出した。また、ob/obマウスの脂肪組織に対するメタボロームスナップショット解析により、肥満に伴いコリン、ホスホコリン、ホスファチジルコリンといったコリン代謝物の有意な増加を認めた。3T3-L1脂肪細胞へのSLC5A7の過剰発現により、細胞内のコリン・ホスホコリン量は有意に増加し、小胞体ストレス誘導下でのCHOPおよびGRP78の上昇が抑制された。以上の結果を、内分泌学会総会において発表した。脂肪組織特異的SLC5A7 KOマウスについては作製まで終了し、脂肪組織特異的にKOできていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A)XOR研究における臨床研究については、症例の登録、解析とも予定通り進捗し、学会発表した。論文発表も次年度中に一報できる見込みである。 B)SLC5A7研究の方についてもin vitro研究および年度当初に準備していた動物実験については予定通り進行でき、学会発表も行うことができた。脂肪組織特異的SLC5A7 KOマウスについても作製は終了できた。 ただ、本学動物実験施設改装に伴い、実験規模が縮小しており動物実験については両テーマとも若干の遅れが生じている。次年度以降代替施設でできる範囲で進めていき、改装終了後に取り戻す予定である。動物実験を縮小している間は、細胞およびin vitroの実験、および臨床データの解析を中心に行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
A)糖尿病教育入院症例での血中XOR活性推移と関わる臨床パラメータの縦断研究については次年度に論文公表を目指す。また、高度肥満症に対する肥満外科手術1年後までのフォローアップ研究については、次年度の目標症例数到達を目標とし、データ解析を行う。基礎研究については、現在動物実験施設の改修工事に伴い規模が縮小している現状で、細胞実験やin vitroの実験を中心に進めていく。 B)こちらもin vitroの実験が中心となるが、改修工事までに進めることができた実験についてはまとめていく。脂肪組織特異的SLC5A7KOマウスについては作製までは終了しており、今後表現型について解析していく。
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Causes of Carryover |
現在本学医学部動物実験施設は老朽化に伴う改装工事のため、動物実験の規模が全学的に縮小しており、本研究課題に関わる動物実験については規模を縮小している。そのためもあり、動物実験に係る研究費に余裕が出てきており、繰越金が発生した。次年度以降、動物実験が可能になれば今年度分も合わせて予定通り実験を遂行する予定である。
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