2021 Fiscal Year Annual Research Report
EDA関連分子の機能解析によるそのシステムの全容解明
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19K09037
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
粟澤 元晴 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 糖尿病研究センター 分子糖尿病医学研究部 統合生理学研究室長 (90466764)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚 / 代謝 / 血糖 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトにおいては無汗性外胚葉形成不全症の原因遺伝子であるEDAについて、昨年度までEDA-A1アイソフォームの受容体刺激抗体、またウイルスによる過剰発現系を構築、また下流のシグナル分子と考えられるJNK1, JNK2の骨格筋特異的同時欠損マウスを作成し解析を行ったが、血糖、組織重量、遺伝子発現、体温などに有意な変化は観察察されなかった。 そこで我々はEDAが皮膚に関連した分子であることから、一般に糖代謝生理における皮膚の役割を広く検証すべく、複数の実験を行った。まずマウス皮膚に血管拡張薬であるイロプロストを塗布し、マウスの熱放散を促進するモデルを確立、この処置がマウスの随時血糖を低下させ、肝臓におけるG6pc、Pck1, Ppargc1aなどの遺伝子発現変化をもたらすことを見出した。更に、皮膚の代謝における位置付けをより広く検討する目的で、痩せ型マウスおよび肥満マウスの皮膚のシングルセルRNA-seq解析を行った。皮膚のシングルセルRNA-seq解析では、ケラチノサイト、線維芽細胞において複数の特徴的な遺伝子発現パターンを呈するクラスターを同定した他、免疫細胞、pericyte、骨格筋細胞などが良好に分離された。痩せ型マウス、肥満モデルマウスの遺伝子発現の比較においては、ケラチノサイトでの特定のケモカインの発現上昇と、線維芽細胞の複数のクラスターで炎症系サイトカインの上昇が認められた。またこれらの遺伝子発現の変化は皮膚内部のT細胞の増加を伴っており、線維芽細胞における炎症の増加がケラチノサイトでのケモカイン上昇を引き起こし、T細胞の遊走を促している可能性が示唆された。肥満においては各種皮膚における炎症性疾患の増悪が見られることが知られているが、これらの結果は、肥満における皮膚免疫の変化を統合的に理解しうる基礎を提供するものと考えられ、今後解析を続けたいと考えている。
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Research Products
(6 results)