2019 Fiscal Year Research-status Report
代謝ストレスによる慢性炎症のエピゲノム制御機構の解明
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19K09038
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Children's Medical Center (Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
蜂屋 瑠見 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, 医員 (50365318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / エピジェネティクス / マクロファージ / 肥満 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリックシンドロームにおいて基盤病態である慢性炎症を標的とする治療法は未だ開発されていない。エピゲノム修飾は、環境要因の影響を受けて可逆的に変化し、メタボリックシンドロームの病態にも寄与しうるが、マクロファージとエピゲノムについての知見はほとんどない。申請者らは、マクロファージのH3K9メチル化酵素Setdb1について、in vitroにおいてリポ多糖(LPS)による炎症性サイトカイン発現を抑制すること、in vivo LPS投与モデルにおいて個体レベルで内在性炎症抑制因子として作用することを見出した。さらに、飽和脂肪酸や高血糖といった代謝ストレスによる炎症でもSetdb1が内在性炎症抑制因子として作用することを予備的に見出した。本研究は、「Setdb1が代謝ストレスによる慢性炎症をどのような分子機構で制御しているか」を解明することを目的とし、メタボリックシンドロームにおいて慢性炎症を標的とする治療法開発への足掛かりとなることを目指す。 初年度は、Setdb1ノックダウンマクロファージ細胞株を用いたin vitroの系で、飽和脂肪酸、高血糖、不飽和脂肪酸などの刺激を行ったサンプルの炎症性サイトカインの動態を解析した。野生型では、飽和脂肪酸であるパルミチン酸刺激により、炎症性サイトカインの発現が経時的に上昇したが、Setdb1ノックダウン細胞株(Setdb1 KD)では、これらの炎症性サイトカインの発現が野生型に比し有意に上昇することを確認した。in silicoにてマイクロアレイ解析を行い、飽和脂肪酸刺激に反応する遺伝子群のうち、Setdb1によって制御される分子を同定し、今後、同定した分子の生物学的意義をin vitro系に戻して解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目より研究機関を異動することとなり、異動準備のため実験系を一時閉じるなどの影響を受けたため。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満の病態生理において重要と思われる飽和脂肪酸刺激下でのSetdb1の意義について、in vitro解析系を用いてより詳細に解析し、in vivoでの検討、治療標的としての可能性探索に展開していきたい。
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Causes of Carryover |
初年度終了後の研究代表者の異動準備にて研究の進捗に遅れを来たしたため。
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