2021 Fiscal Year Research-status Report
持続肺換気保存法を用いたドナー肺機能改善と長時間肺保存法の開発
Project/Area Number |
19K09040
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松田 安史 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (00455833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐渡 哲 東北大学, 大学病院, 講師 (20396485) [Withdrawn]
大石 久 東北大学, 大学病院, 講師 (60451580)
野田 雅史 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (70400356)
平間 崇 東北大学, 大学病院, 助教 (80510338)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
兼平 雅彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90374941)
星川 康 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90333814)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺移植 / 肺保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本はドナー不足により、待機患者の約37%が移植を受けられず待機中に死亡している。ドナーの急激な増加は現状では見込めないため、少ないドナー肺を有効活用する技術が求められている。また、現在の保存方法では8時間の虚血時間が求められており、これは、8時間を超える虚血時間の場合には虚血再灌流障害の発生により移植肺機能不全となり、レシピエントの死亡に至る可能性がある。現在の肺保存方法では、ドナーの体内で灌流を行なった後、肺を膨張した状態で冷却して保存する。そこで我々はドナーの体内で灌流を行なった後に肺を換気して冷保存し、ドナー肺の有効活用と長時間肺保存の研究を行なっている。ドナー肺を灌流後、冷却した状態で換気を行い肺を保存する方法を、低温持続肺換気保存法(CVLP: continuous ventilated lung preservation)と呼んでいる。CVLPによる肺保存では、酸素濃度は一定に保たれ、二酸化炭素濃度も上昇することなく、気道から酸素を得ている細胞が低酸素にならず細胞の代謝を維持できる可能性が示唆された。肺を脱気した状態での肺保存(A群)、肺を膨張した状態で無換気で保存する(従来法)肺保存(B群)、CVLPにより肺保存した群(C群)として、肺組織中の乳酸濃度を測定した。低酸素状態では細胞が嫌気性代謝を行う。代謝を行うことで組織中ATPが減少するが、好気性下では細胞がATPを産生することができる。A群およびこれまでの肺保存であるB群が上昇する。A群では保存前に比較して保存後では乳酸濃度が上昇した。しかしB群では組織中のATPが減少したのに比較し、CVLPを用いたC群では、ATPの減少なく代謝が維持された状態での肺保存が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブタの摘出肺を用いた肺保存により、肺を脱気した状態での肺保存(A群)、肺を膨張した状態で無換気で保存する(従来法)肺保存(B群)、CVLPにより肺保存した群(C群)の3群における肺保存を行い、実験をおこなった。今後はブタの左肺移植に保存肺を用いて行えるように準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ブタの摘出肺を3群で24時間保存し、ブタの左片肺移植に用いる。左片肺移植後のデータ(生存率、動脈血液ガス分析、肺血管抵抗、肺の外観、HE染色などの肺組織の評価など)の評価を行う予定である。ブタの手術室の準備、手術機材の準備、麻酔薬や麻酔器などブタの動物福祉に基づいた実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
生化学実験およびブタ手術費用(手術室管理費、ブタ調達費、手術材料費等)の使用により差額が生じた。
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Research Products
(4 results)