2019 Fiscal Year Research-status Report
新規肺転移モデルを用いた小児肉腫における癌幹細胞および転移の制御に関する研究
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19K09043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 元成 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40546909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 宏臣 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30252670)
田附 裕子 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10397698)
塚田 遼 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70838747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wnt/beta-cateninシグナル / 小児肉腫 / 肺転移 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児肉腫は、多剤併用化学療法の進歩によって予後は改善してきたが、転移を伴うものは未だに予後が悪い。よって、転移に関わる因子の同定およびその制御が、予後改善のために非常に重要である。近年、Wnt/beta-cateninシグナルと癌の転移との関連が報告されている。そこで、本研究は、肺転移巣内における肉腫の増殖過程をex vivo肺転移モデルにて観察し、主に腫瘍の増殖・転移とWnt/beta-cateninシグナルとの関連に重点を置いて評価することを第1の目的とする。さらには、Wnt/beta-cateninシグナル標的因子と癌幹細胞関連遺伝子との相関性についても評価し、肉腫におけるWnt/beta-cateninシグナル下流因子の分子治療標的としての可能性の模索、およびその制御が癌幹細胞に及ぼす影響についても検討することによって、肉腫の根治を目指した治療戦略への礎とすることを以て本研究の最終目標とする。昨年度は、①肉腫の肺転移巣では、原発巣よりもWnt/beta-cateninシグナルが活性化している、②Ex vivo肺転移モデルにおいて、腫瘍内のWnt/beta-cateninシグナルが継時的に増強する、という仮説の立証を遂行した。まずは、骨肉腫細胞株SaOS-2と、肺転移sublineのLM7において、beta-cateninおよびWnt targeting geneをqPCRとWestern blotにて比較したところ、LM7の方が高発現していた。また、SaOS-2をマウス脛骨内に、TC71とRDを腓腹筋内に注射し、肺転移巣と原発巣において比較したが、肺転移巣の方が高発現していた。さらに、ex vivo肺転移モデル(PuMA法)においても、Wnt/beta-cateninシグナルが継時的に増強することも、上記細胞株に7TGCベクターを導入することで可視化して確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね、当初の研究計画書通りに実験が進んでおり、あと2年以内には遂行できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
既に立証した仮説①②に続き、③ALDH1発現とWnt/beta-cateninシグナルが正の相関を示す、④Wnt/beta-cateninシグナルの抑制がALDH1ひいては癌幹細胞の増殖を抑制する、という仮説を立証する。 ③に関しては、ALDEFLOUR reagentにて上記細胞株を処理し、FACSにてFITC強度下位10%の細胞をALDH1low、上位10%の細胞をALDH1highとしてsortingし、sarcosphere assay、invasion/migration assayにてスフィア形成能、浸潤能・遊走能のいずれもがALDH1high細胞群の方がALDH1low細胞群よりも高いことをまず確認する。さらに、ALDH1high細胞、ALDH1low細胞それぞれをNSGマウスに尾静脈注射し、10週後に肺を摘出し、ALDH1high細胞群の方が高い肺転移能を有することを確認する。その上で、各細胞群、または肺転移巣におけるbeta-cateninおよびWnt/beta-cateninシグナル標的遺伝子の発現をReal time qPCRおよびWestern blotにて比較する。 ④に関しては、上記細胞株においてTCF1、TCF4をsiRNAあるいはshRNAによってノックダウンし、ノックダウン効果およびWnt/beta-cateninシグナル標的遺伝子の発現をReal time qPCRにて確認する。また、MTS assayにて細胞増殖能を評価し、ノックダウン群の方がコントロール群よりも増殖能が低いことを確認する。さらに、TCFノックダウン群とコントロール群で、ALDH1の発現をqPCRおよびALDEFLOURにて比較し、スフィア形成能、浸潤能・遊走能も比較することにより、Wnt/beta-cateninシグナルとALDH1発現および癌幹細胞との関連性を考察する。
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Causes of Carryover |
実験に係る試薬の費用が削減できたため次年度使用額が発生した。 次年度の実験費として充当予定である。
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Research Products
(2 results)