2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規肺転移モデルを用いた小児肉腫における癌幹細胞および転移の制御に関する研究
Project/Area Number |
19K09043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 元成 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40546909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 宏臣 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30252670)
田附 裕子 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10397698)
塚田 遼 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70838747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wnt/beta-cateninシグナル / 骨肉腫 / 癌幹細胞 / Ex vivo肺転移モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期に発生する肉腫は、多剤併用化学療法の進歩によって予後は大きく改善してきたが、転移を伴うものは、集学的治療をもってしても未だに予後が悪い。よって、転移に関わる因子の同定および制御が、予後改善のために重要である。近年、Wnt/beta-cateninシグナルと癌の転移との関連が報告されている。そこで、本研究は、腫瘍の増殖・転移とWnt/beta-cateninシグナルとの関連に重点を置いて評価することを第1の目的とする。さらには、Wnt/beta-cateninシグナル標的因子と癌幹細胞関連遺伝子との相関性についても評価し、肉腫におけるWnt/beta-cateninシグナル下流因子の分子治療標的としての可能性の模索、およびその制御が癌幹細胞に及ぼす影響についても検討することを第2の目標とする。 昨年度は、最終目標である、Wnt/beta-cateninシグナルの抑制がALDH1抑制ひいては癌幹細胞の増殖抑制に寄与するという仮説の立証に従事した。骨肉腫細胞株においてWnt/beta-catenin下流の転写因子であるTCF1、TCF4をshRNAによってノックダウンし、ノックダウン効果およびWnt/beta-cateninシグナル標的遺伝子の発現低下を確認した。また、MTS assayにて細胞増殖能を評価したところ、ノックダウン群の方がコントロール群よりも増殖能が低いことを確認した。さらに、TCFノックダウン群の方がコントロール群よりも、ALDH1の発現が低いことをqPCRおよびALDEFLOURにて確認し、スフィア形成能が低いことも確認した。また、TCFノックダウンの代わりにbeta-catenin選択的阻害剤であるTegavivintを用いても、同様の結果を得た。以上より、Wnt/beta-cateninシグナルの制御が癌幹細胞様性質の制御に強く関わることを確認した。
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