2020 Fiscal Year Research-status Report
methylation statusに着目したインスリン産生細胞分化度解明の研究
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19K09045
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
池本 哲也 徳島大学, 病院, 特任教授 (20398019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 特任助教 (50548675)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
黒田 暁生 徳島大学, 先端酵素学研究所, 准教授 (70571412)
居村 暁 徳島大学, 病院, 特任教授 (90380021) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Insulin producing cell / methylation status / 成熟度評価 / 再生医療 / ADSC / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
β細胞補填療法である膵島移植の絶対的donor source不足を解決する方策として幹細胞利用が挙げられる。我々が臨床応用を目指し研究を進めている脂肪由来幹細胞(adipose tissue derived stem cell :ADSC) からの2-step・3次元培養によるinsulin-producing cell (IPC)創出の実臨床応用に際し、1. 造腫瘍性の否定、2. 患者体内に移植する際の未分化なIPCの排除、3. IPC lot間に機能的差異があるのではないかということといった問題点を解決する必要があるが、これらに回答するために、これまでに研究を行って来たmethylation statusに着目した。一般に遺伝子promotor領域のCpG islandsは発生初期はmethylationされていないことが多いが、発生に従ってmethylationを受け、遺伝子発現が抑制される。当修飾は、核酸修飾酵素などの働きによって、細胞が分裂しても引き継がれていくのが特徴である。上記のことから、DNAのmethylation statusはIPC細胞分化に密接に関連していると予想される。そこで、IPCのmethylation statusを定量化することによって、細胞発生系譜との相関関連が明確となり、更にはIPCとしての細胞成熟度が評価できるのではないかと着想した。令和元年度に我々はIPCの成熟度につき、Znの出納(培養液上清のZnイオンの濃度―培養液中のZnイオンの濃度)につき検討し、特徴的なZnイオンの出納パターンがあり、その値が正であってプラトーに達することが細胞としての成熟を反映していることを見出し、報告した(Ohta S,Ikemoto T,et al.Sci Rep.2019)。更に、令和2年度にはこの成熟IPCにPDL1が強発現しており、移植後の1型糖尿病の自己免疫から一定の期間免疫学的に逃避する可能性を示唆し報告した(Ikemoto T,et al. Pancreas 2020)。このIPC成熟過程には前年度報告したZnイオン濃度に依存すること、また、methylation statusと相関することを確認した(論文投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、応募時の実験計画として、(1)IPCの発生系譜の確認(各段階におけるgenetic profile)令和1年-2年、(2)他成熟指標との比較検討 令和2年-3年、(3)各成熟段階のIPCの細胞運命(in vivo study)平成33年-34年としているが、上述したように、IPCの成熟度につき、Znの出納(培養液上清のZnイオンの濃度―培養液中のZnイオンの濃度)につき検討し、IPC分化誘導において特徴的なZnイオンの変動パターンが細胞としての成熟を反映していることを報告し(Ohta S,Ikemoto T,et al. Sci Rep.2019)、更に成熟したIPCは免疫学的逃避の可能性があること(Ikemoto T, et al. Pancreas. 2020)、成熟IPCは保存を行わず成熟直後の移植が望ましいこと(Tokuda K, Ikemoto T,et al. Cell Transplant. 2020)、またIPC成熟過程においてはZnイオン濃度およびmethylation statusが相関することを見出した(論文投稿中)。次年度はタイムテーブルに沿ってin vivoの実験を進める予定であり、計画した事項から鑑みて順調に進展している、と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IPC成熟過程におけるZnイオン濃度とmethylation statusの相関関係を再確認し(in vitro)、その機序につき、DNAマイクロアレイを行って遺伝子的変化を明らかにする。さらに、研究計画書のタイムテーブルに沿い、各成熟段階のIPCの細胞運命を明らかにする(in vivo study)。具体的には、STZ誘導糖尿nude mouseの腎被膜下に300 IEQ(2.0x106個)相当の各成熟段階のIPCを移植し、血糖変動を密に計測する(回/2-3日)。また、移植後100日に担IPC腎および移植部位近傍皮下組織を摘出し、血糖再上昇を証明し、摘出組織については組織学的検討を行う(H.E.染色、抗insulin抗体、抗VEGF抗体、抗CD31抗体抗PDL1抗体、抗ZnT8抗体、抗GAD抗体染色)。
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Research Products
(7 results)