2020 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺細胞診検体を用いた濾胞癌におけるゲノムワイド分子診断マーカーの探索
Project/Area Number |
19K09055
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
軸薗 智雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (10465312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 宰 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70293214)
杉谷 巌 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50465936)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 甲状腺細胞診 / 甲状腺濾胞癌 / マイクロRNA / 分枝診断マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、術前細胞診で得られたRNA検体を対象とし、細胞診における甲状腺濾胞癌の癌死危険度診断マーカーとしての臨床応用への可能性を追求することを最終目的としている。 既に先行研究として、ホルマリン固定パラフィン標本(FFPE標本)を用いて、濾胞癌(悪性)および濾胞腺腫(良性)の比較解析より診断マーカー候補となるトランスクリプトを得ている。その結果は、Gene Expression Omnibus (GEO) にデータ登録を行った上で、データセット論文として投稿した ( BMS Res Notes 13: 241 May, 2020 )。また、発現上昇を認めたトランスクリプトの中で上位に挙がった候補について検討を重ねた。具体的には、1)FFPE標本の解析を重ね、2)公共データベースに登録されている甲状腺腫瘍のトランスクリプトームデータセットの解析を行った。また、3)市販されているRNAサンプルを用いて検討を行い、さらに、4)「コホート・生体試料支援研究」の承認を受け、私共がマーカー候補に挙げたトランスクリプトについて濾胞癌および濾胞腺腫に対し発現解析(リアルタイムPCR解析)を行った。その結果は非常に興味深いものであった。これらの成果は「甲状腺濾胞癌特異的マーカー」と題して、2021年3月に特許申請を行った。 今後は、実際に臨床の場での細胞診を施行する際に濾胞癌の診断マーカーとして使用できるように研究を進めていくとともに、これまで特許申請に関する研究成果を非公表としてきたが、論文作成および学会報告を通して特許の実用化に向けての活動を並行して順次行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私共のFFPE標本サンプル数のデータを重ね、また公共データベースに登録されている、濾胞癌を含めた甲状腺腫瘍のトランスクリプトームデータセット解析を行った。これまでのコホート・生体試料支援研究で得た研究結果、さらに市販されている濾胞癌および正常細胞のRNA解析結果を併せ、私共の見い出したトランスクリプトは有望な診断マーカーであることが分かり、その成果は「甲状腺濾胞癌特異的マーカー」と題して特許申請を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は最終段階として、穿刺吸引細胞診検体を用い、実際に臨床の場で濾胞癌の診断マーカーとして使用できるように研究を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ禍の影響や、所属先の変更に伴う研究室の整備に伴い、研究自体は進んでいるものの、計画は多少の修正を要した。今後は、症例を追加し、更なる解析のための費用に充てる
|