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2019 Fiscal Year Research-status Report

乳癌におけるHOXB9スプライスバリアントの探求

Research Project

Project/Area Number 19K09057
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

高橋 麻衣子  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50348661)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 関 朋子  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70528900)
林田 哲  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80327543)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords乳がん / HOXB9 / スプライスバリアント
Outline of Annual Research Achievements

HOX遺伝子群は発生期におけるマスターレギュレータであるとともに、近年は悪性腫瘍での異常発現が注目されている。本研究の目的は、我々が今回新たに発見したHOXB9スプライスバリアントの乳癌における生物学的・臨床的意義を明らかにし、HOXB9の腫瘍制御メカニズムを解明することである。我々はHOXB9の研究を進める過程で、mRNAの塩基配列の確認を行ったところ、2種類のmRNA配列を同時に検出し、追加実験の結果からHOXB9遺伝子に、今まで明らかでは無かったスプライスバリアントが存在することを明らかにすることができた。このHOXB9スプライスバリアントから生成されるタンパクは、ホメオドメインをコードする領域の前にストップコドンが生じるため、ホメオドメインを欠いた構造となる。これまでの実験では同バリアント高発現クローン株では増殖亢進・アポトーシスが抑制されており、トリプルネガティブ乳癌との関連が強く示唆された。また、同バリアントの定量検出系の確立にも成功した。さらに、これらのクローン株や検出系を用いて、当施設乳癌検体における同バリアント量と臨床病理学的因子との比較や分子生物学的な解析を行った。
各乳癌細胞株や他臓器細胞株のHOXB9 mRNAのシーケンスを行ったところ、興味深いことに腫瘍の悪性度が最も高い乳癌サブタイプであるトリプルネガティブの乳癌細胞株においてtruncated-formが多く発現しており、乳癌細胞の形質や病原性への関与が考えられた。これら背景を踏まえ、これからの研究計画の柱として、HOXB9スプライスバリアントの生物学的・臨床的意義を明らかにすることと位置づけている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今回HOXB9と乳癌についての研究を進める中で、乳癌細胞株のmRNAから、ホメオドメインを欠く新たなHOXB9のバリアント(HOXB9v)を発見した。エクソン1での100塩基欠損によってフレームシフトおよびストップコドンが生じ、HOXB9vタンパクはホメオドメインや補因子結合部を欠いた構造となる。鋳型となったgenomic DNAにはHOXB9の変異を認めず、mRNAにおける変異と考えられた。乳癌患者検体から抽出したmRNAではどのサブタイプにおいてもHOXB9vが検出され、公共データベース上の乳癌RNA-Seqデータの再解析においても、HOXB9vが広く存在していることが明らかになった。一方、正常乳腺検体ではHOXB9vは認めなかった。
また、乳癌細胞株であるMCF7およびMDA-MB-468に変異なしのHOXB9(HOXB9n)またはHOXB9vを高発現させ増殖能を比較したところ、HOXB9v高発現株がより高い増殖能を持つことがわかった。(明らかとなった)MCF7のHOXB9n高発現株とHOXB9v高発現株において、発現差のある遺伝子についてGene Ontology解析を行ったところ、HOXB9v株ではアポトーシスが抑制されており、HOXB9vがアポトーシスの抑制により異常増殖を誘導する可能性が示唆された。

Strategy for Future Research Activity

今後の検証として、HOXB9スプライスバリアント抑制モデルを確立し、病原性の抑制を得られるかについて行っていく。mRNAのスプライシングにはスプライスサイトと呼ばれる部位の認識が必要となる。同部の配列操作によりHOXB9mRNAスプライシングを抑制した際に、病原性の抑制を得ることができるかを検証する。さらに、HOXB9 full-length/truncated-form高発現クローン株におけるHOX阻害薬の治療効果評価として、次の研究を行う。HOXタンパクは多くのcofactorと相互作用しHOXタンパク複合体を形成して働くことが知られ、cofactorの一つであるPBXとの結合を阻害するHXR9はHOXB1-9高発現の乳癌において治療効果が高い。先述のfull-lengthとtruncated-formのHOXB9高発現クローン株およびwild MCF7株における、HXR9の治療効果の差を検証する。DNA結合部を欠くtruncated-formにおいてはcofactorを含んだ下流の反応も異なることが予想され、治療効果も異なることが想定される。In vivo, in vitr
oの両方において検証する。差異部がGCrichであること、またそもそもの発現量が微量であることから、それぞれのバリアントの定量は技術的に困難であった。しかし我々は、PCRを行わずにデジタル分子バーコードで分子をカウントするnCounterシステムを用いて定量系の確立に成功した。各バリアントを高発現させたクローン株をMCF7において作成し、その発現を確認している。確立したクローン株を用い、2つのバリアント間のフェノタイプの違いを検証した。MTTアッセイでは、truncated-formの高発現クローン株がfull-length株に比べ増殖が速く、何らかの細胞増殖促進機構の存在が示唆された。

Causes of Carryover

(理由)
適正な使用を行った結果端数が発生した
(使用計画)
消耗品費として適正に使用する予定である

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Identification of a Modified HOXB9 mRNA in Breast Cancer2020

    • Author(s)
      Nakashoji Ayako、Hayashida Tetsu、Kawai Yuko、Kikuchi Masayuki、Watanuki Rurina、Yokoe Takamichi、Seki Tomoko、Takahashi Maiko、Miyao Kazuhiro、Yamaguchi Shigeo、Kitagawa Yuko
    • Journal Title

      Journal of Oncology

      Volume: 2020 Pages: 1~10

    • DOI

      10.1155/2020/6065736

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-01-27  

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