2019 Fiscal Year Research-status Report
共焦点内視鏡による腸管神経可視化システムの確立と臨床応用
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19K09061
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Children's Medical Center (Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
下島 直樹 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, 医長 (30317151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
炭山 和毅 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90385328)
小林 雅邦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40570552)
原田 篤 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, 医員 (40839536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸管神経 / 可視化 / ヒルシュスプルング病 / ヒルシュスプルング病類縁疾患 / 共焦点内視鏡 / 神経節細胞 / 神経叢 / 腸管運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、共焦点内視鏡(confocal laser endomicroscipy, 以下CLE))を用いた低侵襲消化管壁内神経叢の可視化を確立し、ヒルシュスプルング病や類縁疾患の根治手術における切除腸管の範囲を正確に決定するリアルタイム診断システムを構築することを目指しており、2016~2018年度基盤研究の継続プロジェクトである。2019年度は主に2つの成果が得られた。ひとつはこれまでヒルシュスプルング病根治術時に摘出された検体を用いてCLEで観察して得られたデータを原著論文としてNeurogastroenterology誌に報告したことである。早速その内容が韓国外科学会に着目され、2020年11月に開催予定の72nd Annual Congress of Korean Surgical Societyにて海外からの招待講演としての依頼をいただいた。もうひとつはこれまで2例に対して施行した生体内でのCLEによる腸管神経可視化のパイロットスタディ結果の解析である。対象はヒルシュスプルング病およびその類縁疾患患者であるが、いずれの症例でも神経叢の可視化に成功した。しかし、観察できた時間は短く、その理由として可視化できる焦点深度や観察範囲の小ささなどが課題として浮き彫りとなった。観察部位の漿膜を切開し筋層にプローベを当てることで観察が可能となったが、直接漿膜から観察できないことには臨床応用は困難であり、今後、改良が必要であることが明らかとなった。さらに現在観察時に用いている蛍光色素(クレシルバイオレット)は本来人体に投与するものでは無いため、安全性を示すもしくは他の人体に使用可能な蛍光物質を用いた可視化技術の新たな開発が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、臨床応用に向けて生体内観察を行っていく予定にしていたが、最初の2例のパイロットスタディにて克服すべき重大な課題が見つかったため、方向性の修正が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果からはCLEがヒト腸管神経の可視化の実現可能性を示した一方で、生体内観察を実現するためには、より広範囲をスキャンでき、焦点深度が可変式のものが望ましいことが明らかとなりつつある。 今後、医工連携を進め、新しいデバイスの開発や生体内投与可能な物質で腸管神経の標識をするシステムの構築を進めていきたいと思っている。
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Causes of Carryover |
初年度で特定臨床研究を申請してヒト生体内観察を実現する予定にしていたが、パイロットスタディにて課題が見つかったため、特定臨床研究の申請を取りやめた。課題を乗りこえるための新たな研究計画を立てた上でなるべく早く特定臨床研究を通過させたい。
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