2019 Fiscal Year Research-status Report
飲酒喫煙が食道癌診療に及ぼすリスクの包括的評価における平均赤血球容積の意義
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19K09076
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 直矢 熊本大学, 病院, 特任准教授 (60467983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 祥史 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (20599708)
長井 洋平 熊本大学, 病院, 特任助教 (30551254)
江藤 弘二郎 熊本大学, 病院, 特任助教 (40585717)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (70583045)
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 部長 (80254639)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / 平均赤血球容積 / MCV / LINE-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム全体の低メチル化はヒト癌におけるエピジェネティックな異常であり、発癌において重要な役割を担っている。このようなゲノムワイドなDNAメチル化レベルの指標として、ヒトゲノムの約17%を構成する長鎖散在性反復配列(LINE-1)のメチル化レベルを測定することが有用である。これまで私達は、食道扁平上皮癌の発癌が喫煙や飲酒と関連していることに着目し、これらの嗜好によって起こる食道粘膜のメチル化異常、LINE-1の意義について研究を行ってきた。その結果、LINE-1の低メチル化が食道扁平上皮癌の悪性度と関連し、予後不良因子となることを明らかにした(Ann Surg 2013)。 今回の研究では、重度の喫煙や飲酒を反映する平均赤血球容積(MCV)高値とfield cancerizationの関連について、DNAメチル化異常との相関を明らかにするために、食道癌切除検体102例、癌部及び非癌部ペアの凍結サンプルからDNAを抽出した。 LINE-1が新規に転位・挿入される際には、3’末端側からゲノムDNAに挿入されていき、必ずしも全長が挿入されるわけではない。そのため、癌部と非癌部でのLINE-1のコピー数の差を検出するqPCRのプローブにはLINE-1 ORF2の3’末端を使用した。internal controlとしてはヒトの内在性ウイルスであるHERV-Hを使用した。qPCRは500pg/testのDNAを使用し、1検体、1プローブあたりtriplicateを実施した。ホルマリン固定した組織ではなく凍結サンプルを用いたことでqPCRの精度が高まり、癌部と非癌部での差異を検出することに成功した。 結果としては、癌部においてLINE-1コピー数が有意に高く、加えてDNAメチル化と負の相関があることが明らかになった。MCVとLINE-1コピー数、DNAメチル化との有意な関連は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
他施設共同研究を通じて、食道扁平上皮癌におけるMCV値と臨床病理学的背景、予後との関連を調査し、MCVの臨床的意義を確立していく予定である。
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Causes of Carryover |
理由:医局内保管の試薬、消耗品を使用することができたため。 使用計画:主に実験試薬、消耗品の購入に充てたいと考える。
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