2019 Fiscal Year Research-status Report
アロマターゼ阻害剤耐性乳がんの持つ分子標的薬抵抗性の克服
Project/Area Number |
19K09084
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
引地 理浩 藤田医科大学, 医学部, 助教 (80794130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 孝典 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40724315)
下野 洋平 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90594630)
喜島 祐子 藤田医科大学, 医学部, 教授 (60381175)
内海 俊明 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10176711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エストロゲン / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,エストロゲン枯渇療法耐性乳がんに対するCDK4/6阻害剤の有効性が確認され,臨床応用されるようになっている。しかしCDK4/6阻害剤には薬価は非常に高額である上に,一部の患者においては病状が悪化する場合があるという大きな問題点がある。実臨床ではCDK4/6阻害剤の効果を予測するバイオマーカーが存在しないため,やむなく患者を選択せずに処方するほかないのが現状である。 分担者の林はMCF-7由来エストロゲン長期枯渇耐性細胞株(LTED)をサブクローン化したLTED30株を樹立して検討を行ってきた(T Hayashi, et al. Oncol Lett. 2017, Oncotarget. 2018.)。これらの細胞はAIに耐性化した乳がん細胞の状態を反映すると考え、各サブクローンのパルボシクリブ感受性を調べたところ、増殖を半分に抑えるPalb濃度(IC50)から判定される感受性の差が、クローン間で300倍以上の差があることが分かった。申請者らは独自に樹立した30株の細胞を用いて検討した結果,昨日未知である遺伝子ab31がCDK4/6阻害剤の効果予測マーカーとして有望である上,薬剤の効果を向上させる因子である可能性を見出している。本申請研究では,前向きおよび後向きにRab31のマーカーとして得られるヒト乳がんモデルマウスを使い,基礎的検討を通してRab31の役割を明らかにしてCDK4/6阻害剤の効果向上を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CDK4/6阻害薬の効果予測因子の同定は、臨床的そして医療経済的にも重要である。申請者らは,低分子量Gタンパク質Rab31がPalbの感受性と相関するバイオマーカーである可能性を見出した。また、Rab31の発現によりパルボシクリブの感受性を回復させられることを見出した。 今後,本研究ではRab31の効果予測因子としての可能性を実際の臨床検体を用いて検討していく。さらにバイオマーカーとしてのRab31の分子機構の解明を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 進行・再発乳癌患者から採取した転移巣の組織検体もしくは血中遊離癌細胞(CTC)のRab31発現量を測定して高発現・低発現群に分けて培養し、Palb感受性との関連を検討。 2.オルガノイドを作製してPalbの三次元オルガノイド培養は、患者乳がん組織のがん細胞の多様性を維持した形で細胞培養が可能になる手法である。2-1で得られた検体を用い、Palb存在下でのオルガノイド培養を行い、Rab31発現の違いによるオルガノイド形成能を比較検討する。また、上記のオルガノイド細胞でRab31をノックダウンすることで、Rab31がパルボシクリブ耐性に及ぼす影響を評価する。 3. 進行性乳がん患者の胸水ドレナージの際に得られた胸水から,がん細胞を分離して培養する。高度免疫不全マウスにがん細胞を移植して腫瘍を形成し,転移の度合いや前頁の基礎的検討によって特定したEMT誘発因子Xの発現パターンなどを解析する。
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Causes of Carryover |
大学内からも乳がんに関する研究に対して助成が行われ,消耗品の購入が少なく済んだ。次年度(2020年度)は大きく研究を進める予定なので,消費すると考えられる。
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