2021 Fiscal Year Annual Research Report
アロマターゼ阻害剤耐性乳がんの持つ分子標的薬抵抗性の克服
Project/Area Number |
19K09084
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
引地 理浩 藤田医科大学, 医学部, 研究員 (80794130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 孝典 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40724315)
下野 洋平 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90594630)
喜島 祐子 藤田医科大学, 医学部, 教授 (60381175)
内海 俊明 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10176711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳がん / エストロゲン / アロマターゼ / CDK4/6 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉経後エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんに対し,アロマターゼ阻害薬(AI)は極めて有効である一方,耐性の出現は深刻な問題である。申請者らはこれまで,AI耐性乳がんの研究を行うため,ER陽性乳がん細胞株MCF-7を用いてAI耐性モデルである長期エストロゲン枯渇MCF-7 (LTED)を2年間かけて30株樹立し,耐性獲得分子機構の一端を明らかにしてきた。 実臨床では,AI耐性を克服するべくmTOR阻害剤:Everolimus(Eve)やCDK4/6阻害剤:Palbociclib(Palb)を用いた分子標的治療が注目され,恩恵をもたらしている。しかし,これら分子標的治療薬は患者による治療効果の個人差は大きい。本申請研究では,30株のLTEDを網羅的に解析し,EveとPalbの感受性に関係する因子の特定と分子メカニズムの解明を,上皮間葉転換(EMT)とがん幹細胞に着目して基礎的検討を行う。 Palb感受性とPalb非感受性のLTED細胞の包括的な遺伝子発現プロファイルを比較したところ、Rab31やTBB3など5つの遺伝子が両者で異なって発現していることが判明した。また、Rab31の発現量はPalb抵抗性の発現量と有意かつ負の相関があることが確認された。さらに、Palb感受性の高いLTED細胞でRab31をノックダウン(KD)すると、Palb(10 mg/kg/day)の連日経口投与に耐性を示し、生体内の腫瘍形成を促進することがわかった。これらの結果から、Rab31はアロマターゼ阻害剤耐性乳癌におけるPalb耐性のバイオマーカーであり、負のレギュレーターであることが示唆された。
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