2020 Fiscal Year Research-status Report
消化管癌に対するANXA1を用いた抗がん剤耐性出現モニタリング
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19K09099
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小野澤 寿志 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50622338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90611749)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消化管癌 / ANXA1 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アネキシン遺伝子群の1つであるANXA1(アネキシンA1)を用いて、胃癌や大腸癌といった消化管癌に対する化学療法選択の最適化を目指す。本研究を通じてすべての患者に同一な化学療法をおこなう従来の治療法から、より効果が望まれる化学療法を選択して施行する個別化療法が進むことを期待している。ANXA1はCa2+/リン脂質結合タンパク質であり、我々の大腸癌細胞株を用いた先行研究において5-FUの抵抗性に関与することがわかっている。そのため、以下について検討をおこなうことを目標とする。 ①胃癌・大腸癌切除検体でのANXA1の発現と5-FUを含めた化学療法の治療効果を比較検討し,ANXA1の治療効果予測バイオマーカーとしての有用性を検討する。 ②5-FUを含めた化学療法治療中に血中循環ANXA1濃度を測定し、CTや腫瘍マーカーといった従来の抗癌剤の治療評価指標と比較して、その抗癌剤に対する耐性出現のバイオマーカーとしての有用かどうかを検討する。 ③ANXA1の発現上昇が5-FU抵抗性に関与する機序についての検討をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に用いる症例の検体を集め始めることができたことと、臨床病理学的因子の収集を始めることができた。臨床検体は免疫ANXA1の免疫染色を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌・大腸癌症例の癌組織と非癌組織、さらに、血清の凍結保存をさらにすすめ本研究の目的に則した症例の集積を進める。これまで同様に、切除検体のFFPE切片を用いてANXA1の蛋白質発現を免疫染色にて検討する。その発現強度と抗癌剤の治療効果の比較検討をおこない、切除検体でのANXA1発現が治療効果予測バイオマーカーとして有用であるかどうか検討する。さらに、血中循環ANXA1をELISA法にて測定する計画をすすめる。手術前後の血清検体、さらには、5-FUを含めた化学療法治療中に血中循環ANXA1濃度を測定し、CTや腫瘍マーカーといった従来の抗癌剤の治療評価指標と比較する。CTでの腫瘍増大や腫瘍マーカーの上昇に先駆けて血中ANXA1の発現が上昇してくるようであれば、治療中の抗癌剤に対する耐性発現を早期に確認できる有用なバイオマーカーとなる可能性がある。
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Causes of Carryover |
主に検体収集と臨床病理学的因子の収集をおこなったために、使用額が少なかった。当初の予定通り物品費の多くは免疫染色用の備品購入や血清サイトカイン測定用のELISAキットの購入に用いられる予定である。また、情報収集や解析結果を学会発表する費用や論文として公表する費用に充てられる。
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