2021 Fiscal Year Annual Research Report
消化管癌に対するANXA1を用いた抗がん剤耐性出現モニタリング
Project/Area Number |
19K09099
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小野澤 寿志 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50622338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90611749)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消化管癌 / ANXA1 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アネキシン遺伝子群の1つであるANXA1はARID1A遺伝子の下流に位置し、乳癌においてはARID1A変異に伴ってその発現が上昇することで分子標的薬の治療抵抗性に関与することが知られている。我々は以前、胃癌と大腸癌の免疫染色での検討で、ANXA1高発現例は脈管浸潤・リンパ節浸潤陽性とリンパ節転移陽性と優位に相関することを報告し、また、胃癌においてANXA1の高発現例は予後不良性と優位に相関することを報告した。さらに、ANXA1高発現は抗癌剤(5-FU)の耐性に関与することを見出し、ANXA1が消化器癌の発生や進展に関与することに加えて治療効果にも影響を与えることを明らかにしてきた。一方で、癌抑制遺伝子であるARID1A遺伝子は食道癌、胃癌、大腸癌といった消化器癌においてその変異を認めるが、特に胃癌においては約20-30%に失活型変異を認めることが報告されている。我々は、胃癌切除検体420例においてARID1A発現を免疫染色法にて評価し、その発現低下例は症例の予後不良性と優位に相関することを明らかとした。しかしながら、乳癌でみられたARID1AとANXA1の関係性は、胃癌における免疫染色の結果を解析したところ明らかではなかったため、細胞実験系にてその関連を確認することとし、ARID1AをノックダウンしてANXA群遺伝子の発現を検討した。結果として、胃癌細胞株においてARID1Aを発現低下させたところ、ANXA1は発現誘導されなかった。これは胃癌切除検体での免疫染色結果と一致していた。一方、ANXA遺伝子群のなかではANXA6が最も発現誘導されており、次いでANXA11とANXA4が誘導されていた。ANXA6は抗癌剤耐性に関与することが以前報告されており、ARID1A変異に伴って発現誘導されたANXA6が治療効果に影響を及ぼしている可能性がある。
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