2020 Fiscal Year Research-status Report
気管支軟骨・平滑筋に着目した先天性横隔膜ヘルニア低形成肺の病態解明と治療戦略
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19K09101
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
丹藤 創 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80423870)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 先天性横隔膜ヘルニア / 低形成肺 / 気管支軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性横隔膜ヘルニア(CDH)に伴う低形成肺は、CDH患児の最も重要な死因の一つであり、新たな治療法開発のためには、その病態解明が急務である。我々は、低形成肺における間葉系組織の異常に着眼し、研究を行っている。初年度、ヒトCDH剖検肺10症例、コントロ-ル肺9症例を解析対象として組織学的定量解析を行い、CDH低形成肺における肺内気管支軟骨の異常を明らかにし、論文化した。この結果は、肺内気管支軟骨の発達していないげっ歯類のCDHモデルでは得られない知見であり、ヒトCDH肺低形成の病態を考える上で興味深い。 現在、軟骨形成異常のメカニズム解明のため、Nitrofen誘発CDHラット動物モデルを用いて研究を展開している。E16, E17, E18, E21ラット胎仔の気管を採取し、パラフィンブロックないし凍結ブロックを作製し、免疫組織化学を用いた組織学的定量解析を行った。E18, E21のNitrofen誘発CDHラット胎仔において、高頻度に気管軟骨形成異常が生じることを確認した。さらに、気管軟骨の異常のみならず、気管平滑筋や気管上皮の異常も起こりうることを明らかにした。即ち、この系が、間葉系組織間の相互作用を解明する上で良いモデルとなりうることが示された。 さらに、組織学的解析を継続して行うと同時に、気管軟骨、平滑筋、気管上皮の異常を引き起こす分子メカニズムを明らかにする目的で、レーザ-マイクロダイセクションを行い、上皮、将来軟骨となりうる腹側間葉系組織、平滑筋を切り分け、RNAを抽出し、トランスクリプト-ム解析による網羅的mRNAの発現解析をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Nitrofen誘発CDHラット胎仔の作製効率が低いため必要なmaterialが迅速に採取できないことや、LCMによる純度の高いRNAの採取に苦労していることにより、進捗状況を遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト気管支軟骨形成異常の病態解明のため、Nitrofen誘発CDHラットを用い、気管軟骨形成時期E16胎仔(間葉細胞の凝集が生じ、軟骨への分化が始まる時期)の気管領域に着目し、形態学的な解析を更にすすめる。また、レーザ-マイクロダイセクションにより、気管を間葉系組織、上皮および平滑筋組織に切り分け、トランスクリプト-ム解析による網羅的mRNAの発現解析を推進する。
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Causes of Carryover |
サンプルの採取に時間がかかり、本年度施行予定であったトランスクリプト-ム解析が遅れている。その解析費用として、次年度使用予定である。
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