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2020 Fiscal Year Research-status Report

脂肪細胞による腫瘍形成促進機構の統合的解析

Research Project

Project/Area Number 19K09106
Research InstitutionFujita Health University

Principal Investigator

前田 真男  藤田医科大学, 医学部, 講師 (00769614)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 下野 洋平  藤田医科大学, 医学部, 教授 (90594630)
林 孝典  藤田医科大学, 医学部, 講師 (40724315)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords卵巣がん / 脂肪細胞
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、脂肪組織ががんの形成を促進する分子機構を解明するとともに、脂肪―腫瘍連関を標的とする薬剤のスクリーニングを行い、脂肪細胞を介してがん幹細胞性を阻害する薬剤の同定を試みる。本年度は、卵巣がん細胞とがん患者の大網の腹膜組織から樹立した脂肪組織由来幹細胞を用いて既存薬剤のスクリーニングを行い、スフェロイドの形成を抑制するいくつかの薬剤を同定した。これらの結果を踏まえて、患者の腫瘍組織をマウスに移植して樹立したヒト異種移植腫瘍(PDX)と脂肪組織由来幹細胞を用いて、薬剤スクリーニングで同定された薬剤ががん幹細胞性を抑制する機序の解析をすすめている。
(1)ヒト異種移植腫瘍(PDX)の脂肪組織由来幹細胞によるがん幹細胞性の亢進:当院の産婦人科で摘出された卵巣がん患者の腫瘍をマウスに異種移植して、ヒト異種移植腫瘍(PDX)を樹立した。このPDXを前年度に樹立した脂肪組織由来幹細胞(ADSC)と共培養し、ADSCががん幹細胞性の指標となるスフェロイド形成能を有意に亢進させることを確認した。
(2)アディポカイン阻害剤によるがん幹細胞性の抑制:樹立した大網の脂肪組織由来幹細胞(ADSC)を用いてサイトカインアレイを行い、ADSCでの分泌の多い一連のアディポカインを同定した。そのアディポカインに対する阻害剤を卵巣がんとADSCの共培養系に加えたところ、スフェロイドの形成能が抑制された。このことから、このアディポカインががん幹細胞性を促進させる可能性が示唆され、また、阻害剤の新たな抗がん剤としての可能性が示された。
(3)脂肪―腫瘍連関を標的とする薬剤の同定:卵巣がんのがん細胞株と樹立したADSCによる共培養系に既存薬剤を加えることによって、薬剤スクリーニングを行った。そこで、スフェロイドの形成能を抑制するいくつかの薬剤を同定することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

卵巣がん患者由来のヒト異種移植腫瘍(PDX)の樹立が進んでいること、脂肪細胞から分泌されるアディポカインの阻害剤によりがん幹細胞性が抑制されることが確認できたこと、卵巣がんと脂肪組織由来幹細胞の共培養系を使って既存薬剤のスクリーニングを行ったところ、がん幹細胞性を抑制する薬剤がいくつか同定できたこと、などから本研究はおおむね順調に進展していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

脂肪組織由来幹細胞(ADSC)から分泌されるアディポカインについて、その阻害剤がADSCによるがん幹細胞性の促進に抑制的に働くことがわかってきた。また、既存の薬剤を使ったスクリーニングによりがん幹細胞性を抑制する薬剤をいくつか同定することができた。これらの結果を踏まえて、以下の三点を中心に脂肪組織ががんの形成を促進する機構の解明、および脂肪―腫瘍連関を標的とした新たな治療法の開発を行う。
(1)アディポカイン阻害剤ががん幹細胞性を抑制する機序の解明:これまでの検討で同定されたアディポカインについて、アディポカインを標的とするshRNA、アディポカインの各ドメインを削ったmutant、およびそのアディポカインの活性を失わせたmutantを作製し、ADSCに導入して細胞株を樹立する。それらの細胞株と、卵巣がんをはじめとしたがん細胞と共培養した時のスフェロイド形成能への影響を解析する。
(2)ADSCと卵巣がんとの共移植実験:これまでの研究で樹立したADSCと卵巣がん細胞をマウスに共移植し、ADSCによる移植腫瘍の増大効果を確認する。また、がんとADSCを共移植したマウスにアディポカイン阻害剤を投与し、阻害剤の抗腫瘍効果を解析する。
(3)マウスの腹膜播種モデルの作成:卵巣がんの腹膜播種は、がん細胞が大網などの脂肪組織に富んだ腹膜に転移することにより生じる。薬剤スクリーニングで同定された薬剤は、がん細胞と脂肪細胞の間に作用すると考えられる。マウスの腹腔内に卵巣がん細胞を注入して腹膜播種モデルを作成し、同定された薬剤を投与することにより、その抗腫瘍効果を解析する。

Causes of Carryover

<次年度使用額が生じた理由>既存薬剤パネルを用いた薬剤スクリーニングの解析結果から、同定された薬剤についてマイクロアレイを行う予定であった。しかし、薬剤スクリーニングの解析を慎重に行ったために結果が出るまで時間がかかり、マイクロアレイが行えていない。そのため、昨年度中に購入予定のマイクロアレイを行うための試薬を購入に至っていない。また、上記薬剤を脂肪細胞に加えて分泌量が変化するアディポカインを同定するのに時間がかかったため、今後、実験に使用するアディポカインのELISAキットを購入できていない。
<使用計画>網羅的薬剤スクリーニングで同定された薬剤について、マイクロアレイを行うための試薬を購入する。同定された薬剤により分泌量が変化するアディポカインのELISAキットを購入する。

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Published: 2021-12-27  

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