2019 Fiscal Year Research-status Report
HER2陽性胃癌における遺伝子異常の包括的評価と臨床的意義の解明
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19K09117
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
臼井 賢司 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70769413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 修二郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00512310)
島田 能史 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20706460)
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 研究准教授 (30743918)
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
羽入 隆晃 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50719705)
市川 寛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50721875)
石川 卓 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70586940)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胃癌 / ERBB2 / HER2 / 癌遺伝子パネル / 免疫組織化学染色 / FISH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「胃癌における癌遺伝子解析パネルを用いたERBB2 遺伝子異常評価の精度、および併存する遺伝子異常の臨床的意義を明らかにすることで、抗HER2療法を基軸とした胃癌薬物治療発展への足がかりとすること」である。本年度は、癌遺伝子パネルによるERBB2増幅とHER2発現の関係を明らかにすることを目的に実験を行った。胃癌切除検体130例の原発巣におけるHER2発現を臨床検査(HER2検査)に準じて免疫組織化学(IHC)やFISHで評価した。IHCにはヒストファイン HER2キット(MONO)ユニバーサルキット(ニチレイバイオサイエンス)を、FISHにはパスビジョンHER-2 DNAプローブキット(PathVysion;Abbott Molecular)用いた。IHCで3+、またはIHC2+でFISH陽性(HER2/CEP17比≧2.0)をHER2陽性と定義した。同一症例のERBB2増幅を癌遺伝子パネルで解析し、コピー数≧2.5倍を増幅と定義した。全例でIHCやFISHと癌遺伝子パネルは同一のホルマリン固定後パラフィン包埋(FFPE)ブロックを用いた。35例は癌遺伝子パネルとは異なるFFPEブロックを用いたHER2検査も臨床的に行われていた。 130例中HER2陽性は16例(12.3%)であった。また、ERBB2増幅は11例(8.5%)に認められた。10例はHER2陽性かつERBB2増幅、113例はHER2陰性かつERBB2非増幅であり、HER2検査としての癌遺伝子パネルの精度は94.6%であった。癌遺伝子パネルに用いたFFPEブロックと異なる検体を用いたHER2検査の結果を検討したところ、癌遺伝子パネルの精度は80.0%と低下した。 癌遺伝子パネルによるHER2検査の精度は高く、胃癌における抗HER2療法適応症例の選択に有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題研究Aとして計画した癌遺伝子パネル解析を施行した130例に対する免疫組織化学染色やFISHによるHER2発現の解析を完了し、両者の検査系の結果の比較から癌遺伝子パネルのHER2検査としての精度を明らかにすることができた。ERBB2以外の遺伝子異常の情報も取得済みであり、今後の研究を進める準備にも着手している。以上により研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題研究Bとして、癌遺伝子パネル解析のシークエンスデータを用いて、ERBB2増幅に併存する他の遺伝子異常の状況を明らかにする。また、130症例の臨床情報から抗HER2療法の治療効果や予後に関するデータを用い、ERBB2増幅や併存する遺伝子異常との関連を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
遺伝子変異データ解析用コンピューターやデータ保管用ハードディスクを購入していないこと等により次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、今後の実験費用や、学術集会への参加費、学術論文の投稿費用、研究補助の人件費等に充当する。
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