2021 Fiscal Year Research-status Report
食道扁平上皮癌に対する放射線照射+Nivolumab併用療法の開発
Project/Area Number |
19K09128
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
河野 浩二 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40283204)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 耕作 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90568031)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | がん免疫療法 / 食道扁平上皮癌 / 免疫チェックポイント阻害剤 / immunogenic cell death |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のImmune checkpoint阻害剤(ICI)の成功は、癌治療に大きなbreak throughをもたらし、ICI+抗癌剤が消化器癌の1次標準治療として確立しつつある。しかしICIの効果を最大限にすべき複合免疫療法の最適化は改善の余地がある。我々は、抗がん剤ではなく、放射線照射がImmunogenc cell deathを惹起し、複合免疫療法として、ICIのパ―トナーとして有力であるとの知見を積み重ねてきた。そこで、本研究は、放射線照射が腫瘍免疫環境にいかに作用して、ICIとの相乗効果を最大限発揮させるかを明らかにする目的で、通常診療で照射とICIを受けた食道扁平上皮がん患者を対象に、前向きの観察研究「E-サーキット試験」を立案、実施した。20名の患者リクルートが終了し、計画の検体収集が行われた。そして、本試験による経時的な検体(末梢血リンパ球)を対象に、(a) CyTOF-based, high-dimensional MHC multimer analysis, (b) TCR repertoire analysisを実施、その免疫環境の変化、バイマーカー検索を行うことを骨子とする。特に、CyTOF-based, high-dimensional flowcytometerのシステムは、少量のリンパ球で、30種類の表面抗原を多次元で同時解析することにより、どの腫瘍抗原を認識するどのような機能をもったT細胞が、経時的にどう変化するかの動的変化が定量的に評価できる特徴を持つ。すなわち、放射線照射により、新しい抗原を認識するT細胞が誘導されるのか(antigen spreading)、また、このT細胞は、nivolumabによって機能が維持されるのか(re-invigoration)が判明する。さらにこれらのT細胞の動的、定量的変化が、治療効果(long survivorとshort survivor)と、いかに相関するのかが検証できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前向き観察研究「E-サーキット試験」は、予定の20例の症例集積を終了し、照射前後、ICI前後の経時的な末梢血サンプルの検体採取が実施された。現在、CyTOF-based, high-dimensional MHC multimer analysisの実施中であり、T細胞が認識する食道扁平上皮がんにおけるCD8 epitope panel(HLA-A2402拘束性:15種類の腫瘍抗原ペプチド+6種類のウイルス抗原ぺプチド、および、HLA-A0201拘束性:12種類の腫瘍抗原ペプチド+4種類のウイルス抗原ペプチド)を用い、MHC multimer を 作成し、CyTOF-based, high-dimensional flowcytometerでT細胞のfunctionalなsubpopulationと関連づけることにより、包括的な抗原特異的T細胞アッセイの解析システムである。すなわち、放射線 照射により、新しい抗原を認識するT細胞が誘導されるのか(antigen spreading)、また、このT細胞は、nivolumabによって機能が維持されるのか(re-invigoration)が判明する。さらに、これらのT細胞の動的、定量的変化が、治療効果(long survivorとshort survivor)と、いかに相関するのかを検証する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のCyTOF-based, high-dimensional MHC multimer analysisにより、E-サーキット臨床試験の基本コンセプトである「放射線照射によりImmunogenic cell deathを誘導し、nivolumabとの免疫学的相乗効果が惹起される」を、動的に、定量的に検証する予定である。また、long survivor とshort survivorを比較検討することにより、腫瘍抗原特異的な免疫誘導と、臨床効果との間の関係が考察でき、Immunogenic cell deathの機序が解明できるとともに、複合免疫療法の有効なPredictive biomarkerの候補にもなり得る。
|
Causes of Carryover |
すでに研究室に存在した消耗品などの使用や、既存のシステムの使用などにより、計画よりも少ない支出で進捗した。そのため、使用延長申請を行い、プロジェクトの続行により、現在、継続使用中である。
|