2020 Fiscal Year Research-status Report
The impact of surfactant protein d on pulmonary metastasis of colorectal cancer
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19K09132
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鶴田 雅士 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (00348666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 転移性肺癌 / 肺サーファクタント蛋白d / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大腸癌肺転移の発生および進展における肺内環境、中でも肺サーファクタント蛋白d (SP-D)の影響を明らかにすることを目的にしている。これまで、in vitroの実験系において、SP-Dがマウス大腸癌細胞株(CMT-93)の悪性度を抑制することを明らかにした。次に我々は、in vivoの実験系においても同様のことがみられるかを検証した。すでに確立されていたマウスの尾静脈より癌細胞を注入する大腸癌肺転移モデルを用い、野生型のC57Bl/6マウスとSP-Dノックアウトマウスで、肺転移形成能をマイクロCTにて比較した。結果、予想通り、SP-Dノックアウトマウスでは野生型に比べて、1個体あたりに肺転移の数は多く(p=0.045)、平均転移腫瘍のサイズも大きい(P=0.019)ことが明らかとなった。この結果は、我々の仮説の通り、肺に主に存在するSP-Dが大腸癌肺転移を抑制することを強く裏付けるものといえる。次に野生型マウスに形成させた肺転移巣からsingle cell separtion法により、肺転移好発細胞株を樹立した。今後、この新規樹立した細胞を用いて分子生物学的にSP-Dの大腸癌転移抑制のメカニズムを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの実験系において、もともと肺癌細胞株に見られたSP-Dの悪性度抑制効果を、大腸癌細胞株においても同様であることを明らかにすることができた。さらに、SP-Dノックアウトマウスを用いたin vivoの実験系でも同様のことが示すことができたことから、我々の仮説はおおむね間違っていないことが示すことができている。今年度は細部の研究結果を追加して、研究結果をまとめていく作業になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、新規樹立に成功した肺転移好発細胞株の分子生物学的解析を進める。具体的にはEGFRの発現、あるいはEGF-EGFRシグナル系などを親株と比較検討する。もともと肺転移巣から樹立されたものであることから、SP-Dによる抑制効果がどの程度減弱されているかも評価する。 可能であれば、ほかの大腸癌細胞株においても同様のことがみられるかを検討する。 研究機関最終年度であり、これらの結果をまとめていく。
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