2020 Fiscal Year Research-status Report
Biological role of metadherin in liver metastases of colon cancer and development of novel molecular target therapy
Project/Area Number |
19K09134
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
清水 宏明 帝京大学, 医学部, 教授 (80272318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 圭史 帝京大学, 医学部, 教授 (50260477)
山崎 一人 帝京大学, 医学部, 教授 (60302519)
小杉 千弘 帝京大学, 医学部, 講師 (60375681)
細川 勇 帝京大学, 医学部, 助教 (60623676) [Withdrawn]
首藤 潔彦 帝京大学, 医学部, 准教授 (90372359)
野島 広之 帝京大学, 医学部, 講師 (10507320)
村上 崇 帝京大学, 医学部, 助教 (80621870)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / メタドヘリン / Snail1 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌におけるEMTのKey moleculeとして知られるMetadherin (MTDH)およびSnail1に着眼し、これらEMTマーカーと臨床病理学的因子および患者予後との関連を検索した。当院で外科切除された大腸癌同時肝転移症例の原発巣および肝転移巣の切除標本を用いて腫瘍細胞のMTDHおよびSnail1発現を免疫組織染色によって評価し、臨床病理学的因子および予後との関連を検討。また、肝転移のない大腸癌原発巣切除症例を対照群として、大腸癌同時肝転移症例の原発巣)との間でMTDHおよびSnail1発現の比較検討を行った。さらに上皮系細胞マーカーであるE-cadherin、間葉系細胞マーカーであるVimentin、N-cadherinの発現も同時に評価し、同時性肝転移を有する症例と有さない症例との間でこれらの発現の程度を比較・検討。 MTDHは同時性肝転移の有無に関わらず95%(28/30)の大腸癌原発巣において発現を認めたが、同時性肝転移を有する症例は、有さない症例よりその発現強度の高い傾向を認めた。一方、同時性肝転移症例の原発巣でのSnail1の発現は53%の症例(8/15)において認められ、同時性肝転移のない症例(3/15, 20%)に比較し高かった)。なお、E-cadherin、Vimentin、N-cadherinの発現は両群間で差異を認めなかった。また、同時性肝転移巣においては、全例にMTDH発現の亢進を認めた。一方、同時性肝転移巣におけるSnail1の発現は6例(40%)において高発現が認められ、これらSnail1高発現群は、低発現・発現認めない群に比し、肝切除後後の無再発生存率、および全生存率が有意に不良であった。 同時性肝転移大腸癌原発巣ではMTDHおよびSnail1の高発現がみられ、EMT機構が亢進しており、肝転移形成のプロセスへの関与が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020度は、当院で外科切除された大腸癌原発巣の切除標本を用いた免疫染色の症例数(40例)をかなり増やして検討した。結果から、同時性肝転移大腸癌原発巣ではMTDHおよびSnail1の高発現がみられ、EMT機構が亢進しており、肝転移形成のプロセスへの関与が強く示唆された。同時性肝転移大腸癌また、同時性肝転移巣においてのMTDHおよびSnail1発現の意義については今後のさらなる検討を要するが、Snail1高発現を認めた症例は肝切除後の有意に予後が不良であり、予後因子となる可能性も推察された。バイオマーカーとしてまず、抹消血液中のMTDH値をELISAにて測定したが、肝転移(+)群、肝転移(-)群の間には有意な差異は認めなかった。今後のin vitro でのMTDHのみならずSnail1機能解析が必要であり、今年度は、細胞培養の実験に移行する予定もあったが、細胞培養室の整備とともに細胞株の準備がやや遅れており、まだ、開始に至っておらず、現状の進捗状況としてはやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のin vitro でのMTDHのみならずSnail1機能解析も必要であろう考えている。2021年度は、細胞培養の実験に移行する予定で、細胞培養室の整備とともに細胞株の準備を進めている。大腸癌細胞を用いてin vitro でのMTDH機能解析として 1)EMT-MET plasticityの観点からphenotypic switchへの関連、2)stemness, anoikis resistance について検討をしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
細胞培養室の整備の遅れから、細胞培養実験にて使用する物品の購入をしなかったためと考える。
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Research Products
(3 results)