2021 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアDNAによる潰瘍性大腸炎関連癌の早期発見マーカーの開発
Project/Area Number |
19K09137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 敏明 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (30647540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
畑 啓介 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60526755) [Withdrawn]
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80571942)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 潰瘍性大腸癌関連大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は昨年度ライブラリー調製まで行い得た32例のうち、不適格症例を除いた31例について、解析を行った。大腸の背景粘膜のNGS解析結果と腫瘍の有無の検討において以下の結果が得られた。 (1)Mutation burden(それぞれの検体における遺伝子変異数)と腫瘍の有無の解析において、腫瘍を伴う症例の背景粘膜(以下T)の方が腫瘍を伴いわない背景粘膜(以下N)よりも遺伝子変異数が多かった(T=45.7 N=41.3 p=0.0324) (2)個々の遺伝子についての解析では、MT-ND6内の2箇所のlocusにおいて、T症例の方が遺伝子変異率が高かった(p=0.0217, p=0.0092) また、付随的な解析において、mutation burdenは性別によっても差を認めた(男性 43.7 女性 45.6 p=0.494)。しかし、年齢・罹患期間などその他の臨床病理学的因子とmutation burden に関連を認めなかった。 また、2020年-2021年5月までに東京大学腫瘍外科学教室で手術を行った潰瘍性大腸炎症例14例につき、新たにサンプルならびに臨床病理学的データを収集し得た。追加サンプルはライブラリー調整を終え、今後NGSによる解析を待っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020-2021年度にライブラリー調製に難渋したこと、また、COVID-19慢延に伴う大学入構制限などもあり、やや進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
追加で得られた14症例のNGS解析と共に、2021年6月以降に東京大学腫瘍外科で手術を行った症例サンプルを追加する予定。 本研究の目的は、背景粘膜から潰瘍性大腸炎関連大腸癌の合併症例を予測するモデルを構築することにある。ただし、これまでの31例の解析で、統計学的に有意なという観点(p<0.05)においては、腫瘍の有無と関連する可能性のある因子は、mutation burdenならびにMT-ND6内の二箇所のみに留まっており、予測モデルを構築する因子としては少ない印象が拭えない。そのため、今後の解析においては、初期症例31例で統計学的に有意でない頻度の遺伝子変異もふくめて予測モデルを構築できないかを検討を行う予定である。 また、新たに得られた14例ならびに今後追加しうるサンプルについては、予測モデルに当てはまるかの検証のセットとして用いる方針としている。
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Causes of Carryover |
ライブラリー調製の難渋などを含め、研究計画が遅延し本年度終了予定の研究が完遂していない。完遂目的に残りの額を使用する予定。
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