2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K09159
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大本 智勝 昭和大学, 医学部, 特別研究生 (10515456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 朱里 昭和大学, 医学部, 准教授 (10338535)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腸がん / がん間質 / 細胞外マトリックス / 接着斑分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌は悪性新生物の中でも高齢化や生活習慣の変化に伴いその罹患率,死亡率が増加傾向にある.我々は細胞接着斑アダプター分子である Hic-5 (H2O2-inducible clone-5)がヒト大腸癌組織において癌細胞ではなくがん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts, CAFs)に高発現していることをこれまでに明らかにした.またその発症抑制機序として,コラーゲンの線維化を触媒しているLysyl oxidase (LOX) 発現抑制によるがん間質 ECM リモデリング制御を介することを示した.さらに Hic-5 ノックアウトマウスにおいて大腸癌発生がほぼ完全に抑制されたことから,Hic-5 が大腸癌の発生過程に関与していると考えられた.そこで本研究ではAPCΔ716/Smad4+/- マウスを用いてAPCΔ716/Smad4+/-/Hic-5-/- トリプル変異マウスを作成し,Hic-5欠損によるマウス大腸がん発症抑制効果評価を行った。具体的には、マウス各群の12,14,20週齢の十二指腸から肛門に至るまでの腸管を摘出し腫瘍個数,腫瘍径を計測し,組織学的解析から腫瘍の深達度を評価したところ,コントロールに相当する APCΔ716/Smad4+/- で既報のような大腸がんの発症が全く観察されなかったため,Hic-5 欠損効果評価は結論に至らなかった.その一方で、並行して実施したヒト大腸がん組織由来CAF(hCAF)とsiRNA/hic-5を用いたHic-5のCAF形質への関与についてmicroarray解析を行ったところ,複数の ECM 制御分子の変動が示された.最終年度は、マウスにアゾキシメタンで大腸がんを誘発後に、Hic-5 siRNAを投与し大腸がんの病態変化を解析したところ、腫瘍縮小効果が示唆された。今回の研究から、細胞接着斑アダプター分子である Hic-5 が大腸がん発症に関与しており、この分子の機能を抑制することで既存病変を制御できる可能性が示された。
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