2019 Fiscal Year Research-status Report
難治性消化器癌のHippo pathway破綻による癌幹細胞能獲得の機構解明
Project/Area Number |
19K09177
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
林 洋光 熊本大学, 病院, 助教 (80625773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 洋市 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00404070)
石本 崇胤 熊本大学, 病院, 特任准教授 (00594889)
中川 茂樹 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (10594872)
今井 克憲 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (60555746)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Hippo pathway / Yap / Taz / 抗がん剤抵抗性 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性消化器癌の代表である膵癌細胞株8株(AsPC-1, KLM-1, MIAPaca2, PANC-1, PK59, PK8, S2-VP10, S2-013)を用いて腫瘍抑制シグナルHippo pathway の構成成分YAP/TAZの発現変化を検討したところ、8株中6株でYAP/TAZの高発現を認めとくにTAZ優位の発現パターンを定常状態で確認できた。YAP/TAZ高発現株であるMIAPaca2を用いてTAZのノックダウンを行い、細胞増殖能の低下を認めたが、western blot法でYAP/TAZの蛋白発現を検討したところYAPの代償性発現上昇を認め、膵癌の癌幹細胞マーカーとして知られるALDH1A1の発現増加をreal time PCR法で確認している。YAPのノックダウンではALDH1A1の発現増加が抑えられることより、肝細胞癌同様にTAZ→YAPへの発現がshiftすることにより癌幹細胞能を獲得している可能性が示唆された。現在、作成終了した膵癌細胞株を用いたYAP/TAZ過剰発現株を使用して同様の検討を行っている。また、高脂血症治療薬として知られるスタチンが膵癌細胞株に対して抗腫瘍効果を示し、その効果はYAP/TAZの発現変化を介していることをノックダウンならびに強制発現株を利用して確認した。さらにスタチンは膵癌細胞と免疫担当細胞のinteractionにおいてPD-1/PD-L1の発現を抑制し、PD-1/PD-L1 inducerとして知られるIL-6やTNF-aなどのサイトカイン誘導も抑えることを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵癌細胞を利用したin vitroに関する実験結果は本研究の仮説と合致する結果がこれまで得られている。腫瘍免疫に関する検討もスタチンを利用した実験系では仮説とほぼ合致した結果が得られているが、膵癌細胞株単独でのYAP/TAZノックダウン、ノックイン実験では、直接的なPD-1/PD-L1の発現変化への関与する結果が得られておらず現在条件設定を含め検討を進めている。全体の研究進捗としては、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は癌幹細胞能のphenotypeを確認するために、抗がん剤抵抗性やin vivoでのnude miceを用いたxenograftモデルを作成する予定である。膵癌治療へのスタチンのdrug repositionの可能性についてもIn vivoでの検討を予定している。
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Causes of Carryover |
試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。試薬、消耗品の購入う及び研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。
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Research Products
(2 results)