2021 Fiscal Year Research-status Report
EBウイルス陽性胃がんの術前診断法確立と病因ウイルス株解明
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19K09184
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
神田 輝 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (50333472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 近 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (30270804)
中野 徹 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (50451571)
木村 俊一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 特任研究員 (90816422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃がん / EBウイルス / 胎児消化管類似がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、EBウイルス陽性胃がんを術前診断して、手術標本由来の細胞を初代培養し、その細胞からEBウイルスゲノムをクローン化して解析することを目的としている。令和2年度までの研究により、EBウイルス陽性胃がん症例で、実際に手術検体を初代培養に供することができた症例は1例のみにとどまった。令和3年度(2021年度)は、令和2年度に初期の培養に成功した臨床消化器がん検体2例について長期培養を試みた。うち1例は、EBウイルス胃がん3重がん症例の一病変部から初代培養した細胞である。この細胞を継代すると徐々に細胞増殖性が低下し、ついには細胞増殖が停止した。トリプシン継代時の細胞ダメージによる細胞ロスが疑われたため、TryLE Expressへの変更などを試したが、細胞回収率の改善はみられたものの、長期の安定継代には至らなかった。当初の目標としていたゲノム編集技術によるEBウイルスゲノムのクローン化には安定な長期培養が必須である。よってこの技術を試す段階には到達できなかった。別の1例は食道・胃接合部がん由来の「胎児消化管類似がん」と診断された検体で、培養初期は強い増殖能力を示した。しかしこの細胞も継代を繰り返すうちに次第に増殖性が低下し、分化の兆候である細胞の扁平化が顕著となった。1例目と同様にTryLE Expressへの変更も奏功しなかった。このように、2例とも初期の培養には成功したものの、長期の安定した継代には至らなかった。以上より、現在使っているコンディショナルリプログラミング法による二次元培養法では、目標としていた長期の継代培養は困難であると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
長期培養による細胞増殖性低下という問題点を解決できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
長期継代がうまくいかなかった原因を探索する。二次元の培養では長期継代が難しかったため、三次元の培養を試みる。胃がん臨床検体を培養初期に凍結保存した細胞ストックを計5検体所持しているので、こうした凍結ストックから培養を再開し、マトリゲルを用いたオルガノイド培養による増殖が可能であるか調べる。本研究の最終目標は、EBウイルス陽性がんに感染したウイルスゲノムをクローン化することなので、細胞を強制的に不死化することも一つの手段として考えられる。そこで変異CDK4、サイクリンD、hTERTの強制発現により細胞を強制的に不死化・増殖させる方法についても検討する。
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Causes of Carryover |
これまでの研究により、EBウイルス胃がんの臨床検体由来の細胞を長期に安定して培養することが技術的に困難であり、現行プロトコールの改良が必須であることが判明したため。
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Research Products
(6 results)