2022 Fiscal Year Annual Research Report
オルガノイド技術を用いた食道癌の幹細胞性を標的とする新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K09205
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
羽井佐 実 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70322229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猶本 良夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00237190)
深澤 拓也 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (20379845)
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40379730)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | オルガノイド / 食道癌 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生検サンプルや切除臓器を活用したオルガノイド研究が進められ、米国癌学会や日本癌学会においては、すでに独立した研究カテゴリーとなり内外研究者の最新知見に注目が集まっている。オルガノイドは、解剖学的、機能的に生体内に存在する器官に近い特徴を示すことから、これまで困難であった生命現象の解析が可能となった。癌分野においても、細胞株や遺伝子改変マウスに代わる新しい癌モデルとして、各臓器癌に由来するオルガノイドが樹立され、基礎研究に応用されてきている。現在、癌の治療抵抗性の原因の一つに癌幹細胞の関与が考えられている。癌幹細胞は抗癌剤や放射線での根絶が難しく、さらにその高い造腫瘍性から再発の原因となるため、当該細胞への標的治療の開発が進められている。近年、食道癌の系統維持型癌遺伝子であるSOX2およびΔNp63は癌における幹細胞性の維持に必要であることが明らかになった。上記癌遺伝子SOX2およびΔNp63に対するCRISPR interference (CRISPRi)を開発し、食道癌細胞: TE-8に導入することで標的遺伝子発現は阻害され、増殖抑制効果を誘導した。SOX2に対するCRISPRiを発現するリコンビナント・アデノウイルスベクター: Ad-CRISPRiSOX2はTE-8におけるSOX2発現を阻害し増殖を抑制したが、食道扁平上皮癌患者より樹立したオルガノイドに対し有意な抗腫瘍効果は誘導できなかった。扁平上皮癌で増幅が見られ、発癌と増殖に関与するPIK3CAに対するCRISPRiを作製し、SOX2およびPIK3CAを同時抑制すると上記食道癌オルガノイドにおいて増殖抑制が認められた。さらに扁平上皮癌細胞株を用いた検討から、両標的遺伝子の同時抑制により、アポトーシスが誘導されることが明らかになった
|