2020 Fiscal Year Research-status Report
Role of mesenchymal stem cells in CAC development
Project/Area Number |
19K09213
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山本 真義 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (70397420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 裕也 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20265838)
倉地 清隆 浜松医科大学, 医学部, 助教 (20397384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 炎症性発癌 / 間葉系幹細胞 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌間質には線維芽細胞の他にも免疫担当細胞や内皮細胞など様々な細胞が存在し,それらの中には間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell: MSC)から分化したものが多く含まれている.通常発癌におけるMSCの役割はこれまで数多く示されているが,CAC発癌への関与についてはこれまで報告がない. AOM/DSSモデルにおける線維芽細胞のRNAシークエンス解析結果から,BMPs(BMP2、4、5、6、7)、その受容体ACVR1、下流の遺伝子(id1、3)など,腸管粘膜の向上性維持にう関与する遺伝子の発現が亢進しており、CAC発生への関与が示唆されている. BMPsはその濃度勾配によって陰窩の形成に寄与している。通常、BMPsの発現は陰窩底部では乏しく、頂部で亢進している。また、BMPやその下流のSmad経路が炎症や発癌に関与する報告があるが、腫瘍進展に対して抑制・促進のいずれに働くかはまだ分かっていない.BMPsの経路は炎症に関連したCyclooxygenaseやEstrogen receptor経路の下流に存在しており,大腸癌の発癌経路として世界的に注目されている。 令和2年度はRNA-seqで発現亢進を認めたBMP5とBMP6について、免疫組織化学染色(IHC:Immunohistochemistry)を用いた蛋白発現を確認した。Dysplasiaの陰窩底周囲の間質組織でのBMP5、6の蛋白いずれもが発現亢進しており、通常の陰窩とは異なる状態にあることが確認された。また、BMPsはSmad経路を介したid1、id3などの発現に関与しているが、誘発された腫瘍粘膜下の間質組織でid1蛋白の高発現をIHCで確認できた。炎症に関連して同蛋白の発現が亢進していると推定されるが、これらの蛋白は発癌に関与する可能性があり、今後その経路、生体での役割について確認していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初は,MSCを単離しようとすることを予定していたが,解析に必要なだけの細胞量が得られず,計画より遅延がみられた.純粋なMSCマーカーを持つ細胞の絶対数が少ないためと考えられ,線維芽細胞としてソーティングした細胞集団のなかにMSCが含まれていると考えられた.そこで我々は,MSCを含めた間質線維芽細胞集団をもとにしたRNAシークエンスからシグナル経路の解析を行い,間葉系幹細胞の関与を明らかにする方針とした.再度線維芽細胞のRNAシークエンスの確認を行ったところ,BMPs,Smad,id1の経路が明らかとなった.アプローチ法を微調整することにより難関であった細胞収量の問題を解決し,軌道修正が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,BMPs,Smad,id1経路と炎症性発癌について解析中である.令和3年度はCACマウスモデルを用いたCAC発癌予防実験を行う予定である.標的経路の阻害剤を使用し,CAC発癌予防実験を行う. さらに,臨床検体を用いた検討も行っていく方針である.当科で保存してあるCAC手術症例のFFPE標本からRNAシークエンス法による遺伝子発現解析を行う.対照は炎症を伴わない通常型発癌症例とし,遺伝子発現の相違を比較,マウスモデルによる実験との整合性を検討する.さらに臨床病理学的因子,予後などとの相関について解析する.
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Causes of Carryover |
当初の計画では成果発表と情報収集のための学会参加費,および旅費を計上していたが,コロナウイルス感染症のため参加することが出来なくなり,余剰金が発生した.次年度には国内学会のみならず国際学会などのWeb参加費として使用を計画している.
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