2019 Fiscal Year Research-status Report
肝癌幹細胞特異的RAB3Bを標的とした術後肝内再発抑制のための新規治療法開発
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19K09218
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新藤 芳太郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70749811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肝癌の術後再発抑制を目的とし、Cancer stem-like sphere cell (CSLC) を誘導・解析することで、治療抵抗性及び転移・再発の抑制に結びつける。転移性再発の原因となるCSLCに有効な治療法を開発することで、適切な外科的治癒切除後の癌転移・再発の不安を取り除く。これまでに、独自の特殊培養によって、CSLCの誘導を達成し、CSLC表現型と関連する遺伝子としてRAB3Bを同定しており、RAB3Bを中心に転移性CSLCに対する治療コンセプトを確立する。 令和元年度は、CSLCにおけるRAB3B遺伝子の役割について、転移能、薬剤耐性能、免疫逃避能について解析を進めた。RAB3Bノックアウト (KO) 株及びKO株でのRAB3Bレスキュー株を用いて、転移能についてはマウス経脾的肝転移モデル、薬剤耐性能についてはin vitroでの薬剤存在下でのviability解析を施行した。その結果、RAB3B発現が転移能及び抗癌剤耐性能に寄与していることが確認された。 免疫逃避能については、自然免疫を対象としてヒト免疫細胞 (PBMC) をサイトカイン刺激によりNK細胞の割合を高め、これを標的細胞と共培養する実験系の検討を行った。その結果、共培養系において、CSLCは免疫細胞のインターフェロンガンマ産生を抑制し、免疫逃避を示すデータを得た。また、免疫逃避能をin vivoで検証するために、残存免疫能の異なる免疫不全マウスを用いての実験系の検討を行った。 さらに、RAB3BがCSLCの表現型に影響する機序として、エクソソーム分泌の促進に関与することを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度における計画は、癌幹細胞様細胞 (CSLC) におけるRAB3B遺伝子の役割について、転移能、薬剤耐性能、免疫逃避能においての解析であった。RAB3Bノックアウト (KO) 株及びKO株でのRAB3Bレスキュー株を用いて、転移能についてはマウス経脾的肝転移モデル、薬剤耐性能についてはin vitroでの薬剤存在下でのviability解析を施行した。その結果、RAB3B発現が転移能及び抗癌剤耐性能に寄与していることが確認された。また、免疫逃避能については、自然免疫を対象としてヒト免疫細胞 (PBMC) をサイトカイン刺激によりNK細胞の割合を高め、これを標的細胞と共培養する実験系の検討を行った。その結果、共培養系において、CSLCは免疫細胞のインターフェロンガンマ産生を抑制し、免疫逃避を示すデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
転移能に関しては、引き続きマウス経脾的肝転移モデルを用いての解析を行う。また、腹膜播種や皮下腫瘍形成においても検討する予定である。免疫逃避能に関しては、確立した共培養系を用いて、インターフェロンガンマ産生抑制と関連する抑制性サイトカインの探索とRAB3B-KO株等でのさらなる解析を予定する。また、CSLCにおけるエクソソーム分泌促進を示唆するデータを得ており、その検証を行うとともに、次世代シーケンサーを用いての包括的解析を施行する。
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Causes of Carryover |
残高が少額であるため次年度の試薬費と合算して使用する。
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