2021 Fiscal Year Annual Research Report
消化管癌に対するイリノテカン療法の効果増強を目指した新たな治療法の開発
Project/Area Number |
19K09219
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐伯 浩司 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80325448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 幸滋 九州大学, 大学病院, 助教 (20608864)
沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消化管癌 / topoisomeraseI阻害剤 / ユビキチンプロテアソーム経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
イリノテカンはtopoisomerase I (topoI)阻害剤であり最終的にDNAの二重鎖切断をもたらし細胞死を誘導する。イリノテカン投与後にtopoIが分解される場合では抗腫瘍効果が低いことが報告されている。我々はこのtopo I分解の分子メカニズムを詳細に検討し、DNA-PKcs, BRCA1などが関わり、ユビキチンプロテアソーム経路により行われる分子メカニズムを解明した。すなわちイリノテカン耐性克服にはtopoI分解を抑制することが重要であると考えられた。 今回、大腸癌細胞株HCT-15、HCT-116、DLD-1を用いた。イリノテカン投与の検討においてHCT-15とDLD-1はイリノテカン耐性株であり、HCT-116はイリノテカン感受性株であった。イリノテカン単独投与では、HCT-15とDLD-1ではWesternblot法によりtopoIの分解を認め、HCT-116では分解を認めなかった。これらにプロテアソーム阻害剤であるbortezomib、carfilzomib、ixazomibを加えて検討すると、HCT-15とDLD-1においてtopoI分解は認められなくなった。プロテアソーム阻害剤を加えることにより、予想通りtopoI分解が抑制できた。 つづいて、HCT-15、DLD-1においてプロテアソーム阻害剤とイリノテカン併用が細胞死に与える影響について検討を行った。 これらの細胞はイリノテカン耐性であり、イリノテカンおよびプロテアソーム阻害剤の単独投与ではそれぞれの薬剤濃度を変化させても細胞死に変化はなかった。一方でプロテアソーム阻害剤とイリノテカン併用の検討を行った。プロテアソーム阻害剤の濃度を一定にした条件下でイリノテカン濃度を上昇させると細胞死が認められた。 イリノテカンとプロテアソーム阻害剤併用療法は大腸癌細胞株において耐性株へ細胞死を誘導することがわかった。
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Research Products
(8 results)