2022 Fiscal Year Research-status Report
1064nm近赤外ラマン分光法を用いた骨盤自律神経の温存と術後機能の向上
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19K09228
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 純人 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (80769315)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラマン分光法 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨盤内に複雑に分布したために、悪性腫瘍等の手術において確実に温存することが未だ困難な自律神経を、ラマン分光法の技術を用いて正確にかつ客観的に認識する技術を確立することにある。本研究では非侵襲的に物質を迅速に同定することができるラマン分光法を用いて、骨盤内の自律神経を同定することに加え、密接している近傍の臓器から正確に判別することで損傷を防ぐことを目的とし、手術における骨盤内の自律神経の損傷を予防することで、術後の排便機能、排尿機能、性機能の温存率の改善が期待できる。今までは、手術検体より採取した自律神経組織、周囲臓器(がん組織、大腸、膀胱、前立腺、子宮、卵巣、尿管)の新鮮組織サンプルを用いて検証した実験結果を国内の学術集会、国際学会にてオンラインにて報告した。また自律神経組織のラマンスペクトルでは、1309 cm-1、1442 cm-1、および1658 cm-1に特異的なスペクトルを検出したこと、主成分分析を用いてそれぞれの組織のスペクトルから抽出した主成分を比較することで、神経組織を他臓器から判別することができたことを、国際雑誌に論文投稿し採択された。今年度はこれらの結果が、手術検体より新しく採取した別の組織にも応用できることを確認した。次年度はこれらの結果を用いてラマン分光器を実際の臨床へ応用すべく、新型コロナ感染症が蔓延し、今年度も中止となったご遺体を用いた自律神経の鑑別の可否について検証を予定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症が蔓延して以来手術件数が減少した影響で、自律神経とその周囲臓器を比較するために必要なラマンスペクトルの採取が遅れた。参加を予定していた国内、国際学会は、オンラインでの参加が中心となり、パンデミック以降中止となっているタイのSirirajHospitalでご遺体を用いて実際に人体内でラマン分光法を用いた検証も実施できなかった。このご遺体を用いた検証は国内では行うことができず、来年度は海外の施設に渡航し研究が再開できることを期待している。本研究でおおむね目標としてる結果は得られているものの、上記の理由により本研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今まで得られたデータを別の手術検体にも応用できる検証する一方で、国内、国際学会での成果発表を進める。今年度も新型コロナ感染症にて中止となったご遺体を用いた人体内での検証は、本研究において今後の臨床応用のためには大変重要であると考えており次年度は是非とも実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
Covid-19感染症の影響で学会の現地参加が少なくなり、オンラインでの参加が増えた。一番の使用額の差はタイのSiriraj Hospitalで予定していた、ご遺体を用いて実際に人体内でラマン分光法を用いた検証研究で、昨年度に引き続き今年度もCovid-19感染症の影響で渡航を含め予定していた研究がすべて中止となった。来年度は、検証研究を実施を予定している。
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