2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K09230
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
山本 君代 (中村) 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70611078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井田 厚司 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00772493)
内山 和久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80232867)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌の数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の腫瘍進展形式を予測する方法を樹立し、個別化治療を提案することを最終目的とする。具体的な手順として米国マサチューセッツ総合病院での1088症例の経時的膵癌体積データを用い、(1)膵癌増殖様式と腫瘍細胞増殖率を推定し、(2)膵癌進展の数理モデルを構築した上でモデルの妥当性を検証し、(3) 進展形式(広範囲転移型とオリゴ転移型)を考慮した治療計画を検討する。今年度は、得られたデータを元に、まず癌増殖様式及び癌細胞増殖率の推定を行った。通常、癌増殖様式は指数増殖と仮定することが多い。しかしながら、腫瘍細胞は分裂に必要な酸素や物理的空間を隣接細胞と競い合いながら獲得している。この腫瘍増大と共に激しくなる腫瘍細胞間競合の効果を加味したロジスティック増殖やゴンペルツ増殖を含めて増殖様式を検討した。これら3種のモデル適合度を比較した結果、ロジスティック増殖が最も良く適合することが分かった。したがって、ロジスティック増殖の仮定の元で、癌細胞増殖率の推定へと進んだ。最初に、症例間の差を加味するために固定効果と変量効果を導入した混合効果モデルを用いた。しかし、ロジスティック増殖様式の場合、組み込みパラメータによっては正規分布に従わず推定不能となる場合があった。解決方法として、事前分布を導入したベイズ推定へと推定法を変更したところ、癌増殖率と癌組織の環境収容力値の推定に成功した。ここまでの結果が齎す意義、重要性としては、膵癌の増殖様式が指数増殖ではなくロジスティック増殖であるという新知見を、1088症例という大きなサンプルサイズの経時的膵癌体積データを用いて実証した点にある。また、今年度の研究成果としては、申請内容に沿う第一報となるYamamoto et al, 2019, Plos Oneを出版することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に推進している。まず、予定していたマサチューセッツ総合病院の1088症例に関して、研究倫理委員会での承認を得られたことが確認できた。同病院から得られた経時的体積データに関して、欠損値は少なく、また各症例で3地点以上を含んでいるため、癌増殖率推定を行うにおいて必要とされる質も担保されている。今年度予定していた膵癌増殖様式と腫瘍細胞増殖率の推定に関して、研究実績の概要にて記述した通り成功し、現在は数理モデル構築及びシミュレーションを行う段階にまで来ている。また、予定していたHarvard大学のProf. Michor博士の研究室へ実際に訪問し、当課題に関する十分な議論を行うことが出来た。更には、当研究の内容に沿った論文の第一報を出版することに成功したので、今年度の目標は良く達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を推進する方策として、現在の進捗状況は順調であるため、申請書に記述した手順に沿って進める予定である。翌年度は、癌細胞のランダムな増減、突然変異、遠隔転移などといった、腫瘍細胞のクローン進化過程において確率的かつ分岐を伴う現象を表すために、確率過程という理論を基に数理モデルを構築する。構築したモデルを元に、一つ一つの腫瘍細胞において増殖、死亡、変異、転移イベントを確率的に選択させ、腫瘍全体の成長をシミュレートする。十分なサンプルサイズのシミュレーションを行った後は、当初予定通り、進展形式(広範囲転移型とオリゴ転移型)の予測因子を解析する。 現在のコロナウィルス感染症拡大の状況を鑑みて、国際間の移動は決して容易ではないが、可能であれば予定していたボストンのマサチューセッツ総合病院や、また新たにニューヨーク州のWhite Plains病院へ訪問し、共同研究者と面会することも検討している。
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Causes of Carryover |
出張費として残高約10万円を使用予定であったが、感染症拡大にて移動が困難となった。使用計画として、来年度は大型コンピュータ購入を予定しており、こちらに当てることを検討している。
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[Journal Article] Computational modeling of pancreatic cancer patients receiving FOLFIRINOX and gemcitabine-based therapies identifies optimum intervention strategies.2019
Author(s)
Yamamoto KN, Nakamura A, Liu LL, Stein S, Tramontano AC, Kartoun U, Shimizu T, Inoue Y, Asakuma M, Haeno H, Kong CY, Uchiyama K, Gonen M, Hur C, Michor F.
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Journal Title
Plos One
Volume: 14
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] KDM5 Histone Demethylase Activity Links Cellular Transcriptomic Heterogeneity to Therapeutic Resistance2019
Author(s)
Hinohara K, Wu HJ, Sebastien Vigneau, McDonald TO, Igarashi KJ, Yamamoto KN, Madsen T, Fassl A, Egri SB, Papanastasiou M, Ding L, Peluffo G, Cohen O, Kales SC, Lal-Nag M, Rai G, Maloney DJ, Jadhav A, Simeonov A, Wagle N, Brown M, Meissner A, Sicinski P, Jaffe JD, Jeselsohn R, Gimelbrant AA, Michor F, Polyak K.
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Journal Title
Cancer Cell.
Volume: 35
Pages: 939-953
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Subclonal Cooperation Drives Metastasis by Modulating Local and Systemic Immune Microenvironments2019
Author(s)
Janiszewska M, Tabassum DP, Castano Z, Cristea S, Yamamoto KN, Kingston NL, Murphy KC, Shu S, Harper NW, Del Alcazar CG, Alekovi; M, Ekram MB, Cohen O, Kwak M, Qin Y, Laszewski T, Luoma A, Marusyk A, Wucherpfennig KW, Wagle N, Fan R, Michor F, McAllister SS, Polyak K.
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Journal Title
Nat Cell Biol.
Volume: 21
Pages: 879-888
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research